押し寄せる今川の大軍を前に織田信長(染谷将太)は――
今川義元(片岡愛之助)自ら大軍を率いての尾張侵攻がはじまった。その先鋒を任された徳川元康(風間俊介)を今川家から離反させようと、信長は菊丸(岡村隆史)を使者にたてる。しかし元康は承知しない。織田方劣勢で進む戦の中、信長は二万の大軍と称する今川勢の戦力を分析、起死回生の一手を探っていく。一方、その頃、戦況を憂う明智光秀(長谷川博己)も、尾張へ駆けつけようとしていた――。
いよいよ歴史のターニングポイント、桶狭間の合戦だ。戦国を描いたドラマの中で、幾度となく描かれてきた戦いだけれど、やはりというか、予想通りというか、「麒麟がくる」の桶狭間は、いままでの描かれ方とはずいぶん異なっていた。
大抵のドラマでは、桶狭間の合戦は、豪雨の中を小勢で馬を飛ばした信長が、桶狭間で休息している義元を急襲し、討ち取るパターンで描かれる。だが、このドラマでは、当初雨が降っていない。豪雨による視界の悪さを利用しての、運任せの無茶な奇襲といった描き方はしていないのだ。
むしろ戦力を冷静に分析し、今川勢の大軍二万が、どこにどう展開し、義元周辺にどれだけの兵が残存しているかを判断。動かせる自軍の人数と比較し、戦力的に見て、勝ち目があると判断した上で、出陣してゆく。
これだけでも十分新しいのだが、迎え撃つ今川方も、これまでのドラマのイメージとは一新。大抵のドラマでは、襲われた義元は、どちらかというと貴族的に描かれ、ただうろたえるうち首をとられてしまう。
だが、片岡義元は、刀を抜き奮戦。さらに義元の首を取る毛利新介(今井翼)のアクションもすさまじく、「海道一の弓取り・今川義元」の名にふさわしい見事な最期が演出されていた(時代劇大好きなのですが、自ら敵を殺した義元なんて、ドラマでは初めて見ました)。
戦国時代は好きだけれど、一年間もドラマ見てられないよと、大河を見ていない方がもしいたなら、この桶狭間のシーンだけでも、ぜひ見てほしい。そう思わせてくれる、最高の桶狭間だった。
尚、次回以降の放送は、コロナ禍の影響でしばらくお休みになり、放送日程も未定。
けれど、これだけのものを見せられたら、しばらく間があいても、続きを見たい熱はひかないし、むしろヒートアップしそう。
再開の日を、楽しみにしたいと思います!
今から観るには:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」
- NHKオンデマンド(見逃し見放題パック月額972円・税込)
基本情報:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」第21話
- タイトル 麒麟がくる
- チャンネル NHK総合/BS/BS 4K
- 番組公式サイトトップ|番組紹介|あらすじ|登場人物|相関図
- 放送日時(第21話): NHK総合 2020年6月7日(日)20:00〜20:45 / NHK BSプレミアム 18:00~18:45 / NHK BS 4K 9:00~9:45
- 出演
- 明智光秀(十兵衛):長谷川博己
- 明智光安(光秀の叔父):西村まさ彦
- 牧(まき、光秀の母):石川さゆり
- 藤田伝吾(明智家の家臣):徳重聡
- 煕子(美濃の土豪妻木氏の娘、光秀の正室):木村文乃
- 斎藤道三(利政、美濃の守護代):本木雅弘
- 深芳野(道三の側室):南果歩
- 帰蝶(濃姫、道三の娘):川口春奈
- 斎藤高政(義龍、道三の長男):伊藤英明
- 土岐頼芸(美濃の守護):尾美としのり
- 稲葉良通(一鉄、道三の有力家臣):村田雄浩
- 織田信秀(織田信長の父):高橋克典
- 土田御前(信秀の継室、信長の母):檀れい
- 織田信長(信秀の嫡男):染谷将太
- 平手政秀(織田家の家臣):上杉祥三
- 藤吉郎(尾張の最下層農民、のちの秀吉):佐々木蔵之介
- 望月東庵(医者):堺正章
- 駒(望月東庵の助手):門脇麦
- 松永久秀(戦国大名、三好長慶の家臣):吉田鋼太郎
- 足利義輝(第13代将軍):向井理
- 三淵藤英(足利将軍奉公衆):谷原章介
- 細川藤孝(足利将軍奉公衆):眞島秀和
- 足利義昭(室町幕府最後の将軍):滝藤賢一
- 今川義元(東海最強の戦国大名):片岡愛之助
- 太原雪斎(今川義元の軍師):伊吹吾郎
- 伊呂波太夫(旅芸人一座の女座長):尾野真千子
- 菊丸(三河出身の農民):岡村隆史