このドラマ、回を追うごとに勢いが増している。
前回・第7話『家族編』のレビューで「これまでオンエアされた中で一番の回だ」と書いた。ところが、この『美のカリスマ編』も、かなり痛快で、見応えがある仕上がりだった。

いつものように、冒頭の白い部屋のシーンで長澤まさみが偉人の名言を紹介する。
今回は映画の歴史のなかでも美女の中の美女と言える、オードリー・ヘプバーン。
本編に入ってからも女性の「美」に関する気のきいた「名言」が散りばめられていて楽しい。とくに、デリカシーのないダー子に怒ったボクちゃんが、部屋を去るときに言い放つ捨てゼリフが笑える。

そして今週のゲストであり、騙され役は、りょう。
美容整形などの数々のビューティ関連事業を成功させた美のカリスマ。
ただ、スタッフに容赦ない暴言を浴びせるパワハラ経営者でもある。

彼女のクールでシャープなキャラクターにぴったりだ。

ただ、カッコよくすべき場面ではカッコよく決めながら、部下に対する暴言を吐くシーンなどで、羞恥心を捨て切ってアクセル全開でブチキレ演技をしている思い切りのよさが痛快だった。

そして、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)という三人組の詐欺師チームが、金の亡者を騙して大金を巻き上げるという、これまでの定型ストーリーではあるが、いったん造った型にハマらず、まだ見たことのない変化球を投げてきたのが今回だった。

何しろ今回は、騙し方が手が混んでいて、巧妙である。
この騙し方ではダメだ、と気づいたら、すぐに踵を返して一からやり直すことを決断するダー子の潔さに感心する。
結果生まれたアイデアが何とも斬新。

そして、これまでの全7話を観て、視聴者の脳は、このドラマのお決まりのパターンを学習しているのだが、それを裏切る最終局面の展開。
1話完結型ながら、毎回必ず新たな創意工夫で、月曜の夜を楽しくしてくれるドラマだ。

P.S.
他と変わり映えのしない中身の商品でも、切り口次第で売れる。よい商品でも、他と変わり映えのしない売り方では買ってもらえない。
必要なのは、その商品を買わなくてはいけない気分になってしまうようなストーリーだ。
山形県の奥地に、美人ばかりが住んでいる「美人村」がある、と聞くと、ちょっと行ってみたくなるでしょう。
そんな「セールス」の基本を垣間見た。

基本情報:フジテレビ月9「コンフィデンスマンJP」第8話『美のカリスマ編』 – 長澤まさみ主演

今から観るには:「コンフィデンスマンJP」