物語は新たな局面へ!
明智光秀(長谷川博己)たちは越前へ向かう
美濃の内乱で斎藤高政(伊藤英明)に追われる身となった明智光秀(長谷川博己)は、明智家の皆を心配し駆けつけた駒(門脇麦)と合流の後、家族と共に美濃を脱出。さらに帰蝶(川口春奈)の依頼で、援助に現れた伊呂波太夫(尾野真千子)の手引きにより、一行は朝倉家が治める越前へ向かうこととなる。一方、美濃内乱の余波は尾張・織田家にも及んでいた。織田信長(染谷将太)は、高政と結んだ弟・信勝(木村了)の対処に頭を悩ませるが――
こちらが、今回のあらすじになる。
前話ラストでようやく明智家当主となった光秀だが、今回もまだ自身ではあまり大きな決断はしていない。だが、なんだか凄いなあと感心したのは、当主となり故郷からも離れて尚、光秀が自身で率先して決断してゆく必要性が生まれなかった事実だ。
というのは、光秀の人柄が周囲にそうさせるのか、とにかく救援の手が差し伸べられてしまうのだ。心配して駆け付けた駒に、伊呂波太夫を派遣した帰蝶……このふたりだけなら、光秀へのほのかな思いがそうさせているだけとも思える。
しかしそれに加えて、足利将軍家の家臣・細川藤孝(眞島秀和)までが、各地の大名家に、光秀が落ち延びてきたらよろしくといった書状を送って、陰ながら支援しているから、もうどれだけ愛されキャラなのかといった感じで、ついくすりとしてしまった。
物語そのものは、敗者となって逃亡中のことで、決して明るい内容ではない。だが、どうしようもない局面で救いの手が差し伸べられる展開は、2020年5月現在のリアルな情勢に対する、視聴者の気疲れを思えば、偶然にしてもありがたい(実際、なんだかホッとしました)。
さておき、今回一番の目玉は終盤だろう。ここまでのあれこれを全部忘れさせる勢いで、もっていったのが、既存作品とは一線を画した染谷信長だ。
純真なサイコパスとでもいえばいいだろうか、本気で涙しながら、実の弟を手にかけるという、どす黒い行為に踏み込んでいく信長の描かれ具合は圧巻。この信長に、善良な常識人光秀がまともに絡めるとは到底思えない。本能寺での結末に向かうのも当然だろうと、早くも納得してしまう。
さて次回は、その信長暗殺を阻止しようと光秀が、京の都で奔走することに。後の歴史を考えれば皮肉そのものの展開を、史実との狭間の創作部分で、どう魅せてくれるか、楽しみに待ちたい。
今から観るには:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」
- NHKオンデマンド(見逃し見放題パック月額972円・税込)
基本情報:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」第18話
- タイトル 麒麟がくる
- チャンネル NHK総合/BS/BS 4K
- 番組公式サイトトップ|番組紹介|あらすじ|登場人物|相関図
- 放送日時(第18話): NHK総合 2020年5月17日(日)20:00〜20:45 / NHK BSプレミアム 18:00~18:45 / NHK BS 4K 9:00~9:45
- 出演
- 明智光秀(十兵衛):長谷川博己
- 明智光安(光秀の叔父):西村まさ彦
- 牧(まき、光秀の母):石川さゆり
- 藤田伝吾(明智家の家臣):徳重聡
- 煕子(美濃の土豪妻木氏の娘、光秀の正室):木村文乃
- 斎藤道三(利政、美濃の守護代):本木雅弘
- 深芳野(道三の側室):南果歩
- 帰蝶(濃姫、道三の娘):川口春奈
- 斎藤高政(義龍、道三の長男):伊藤英明
- 土岐頼芸(美濃の守護):尾美としのり
- 稲葉良通(一鉄、道三の有力家臣):村田雄浩
- 織田信秀(織田信長の父):高橋克典
- 土田御前(信秀の継室、信長の母):檀れい
- 織田信長(信秀の嫡男):染谷将太
- 平手政秀(織田家の家臣):上杉祥三
- 藤吉郎(尾張の最下層農民、のちの秀吉):佐々木蔵之介
- 望月東庵(医者):堺正章
- 駒(望月東庵の助手):門脇麦
- 松永久秀(戦国大名、三好長慶の家臣):吉田鋼太郎
- 足利義輝(第13代将軍):向井理
- 三淵藤英(足利将軍奉公衆):谷原章介
- 細川藤孝(足利将軍奉公衆):眞島秀和
- 足利義昭(室町幕府最後の将軍):滝藤賢一
- 今川義元(東海最強の戦国大名):片岡愛之助
- 太原雪斎(今川義元の軍師):伊吹吾郎
- 伊呂波太夫(旅芸人一座の女座長):尾野真千子
- 菊丸(三河出身の農民):岡村隆史