第1話、第2話と刺激の強い演出で免疫ができてしまったのか、今回は終わったあとのショックが思ったより少なかった。
この第3話、挑戦しなくてはならない手術の難しさだけではなく、それ以外に想定外な事件も起こり、渡海医師(二宮和也)はさらに困難な状況に追い込まれる。
ただ、最後には救ってくれるんだろう、という予想のもとに、安心して観てしまったのかも知れない。

ドラマ「24」で、ジャック・バウアーが最後まで死なないように、このドラマも渡海医師は失敗しない。
ただ「今回ばかりは万事休すだ」と絶望してしまうな状況をつくり、その中から「その手があったか!」という抜け道をヒーローが通り抜けることになれば、感激が倍増する。

ここで難しいのは、困った状況になった→最後にヒーローが現れて一網打尽にする、という単純なパターンだけでは、飽きがきてしまうことだ。
また、医療ドラマの場合、医学的には正しくても、ロジックが専門的すぎると、「その手があったか!」と思うのは画面の中で納得している医師だけになってしまい、視聴者は置いてきぼりを食う。

その点、第3話での医療チームが迎えた局面はちょっと複雑だったにもかからわず、視聴者目線での興味を失わせない創意工夫が随所になされていた。
まず、渡海医師が起こす行動や下す判断に、ちょっと謎を含ませておく。
視聴者が「え、なぜそうするの」と思えるような言動もあり、登場人物の医師たちが「渡海先生はなぜそうするのか」と言わせる場面もあった。
そして最後に「そうか、そこまで読んでの行動だったのか」と思わせるような最後のまとめ方が、このドラマの深みを増している要素のひとつである。
また、視覚的にも、心臓内部の画面グラフィックや、手先の動きの速さをクローズアップするなど「なるほど」と感じさせる演出も丁寧だった。

にもかからわず、後味として刺激が軽めに感じたのは、昨今リアルな世の中で衝撃的なニュースが多すぎたせいだろうか。
いずれにしても、第2話の最後のシーンにちらっと出たレントゲン写真が今回も登場。次回への興味が深まる。

P.S.
「なら、どっち助ける?どっち殺す?」という、渡海医師の台詞の直後に生保のCMが流れた。
タレントの不祥事があっただけでビビって降りてしまうスポンサーがあるなかで、日本生命は太っ腹だ。

基本情報:TBS日曜劇場「ブラックペアン」第3話 – 二宮和也 主演

今から観るには:TBS日曜劇場「ブラックペアン」 – 二宮和也 主演