第1章が前回にて完結、続く第2章反撃編との間に挟まれ放送されたのが、この特別編だ。

章の間に挟まれる特別編というと、総集編になるパターンが多いが、過去のおさらいはサラリと概要をつまむのみで、主人公・手塚菜奈(原田知世)と手塚翔太(田中圭)の出会い、そして二人が婚約に至るまでを重点的に描いた見ごたえ十分の一編だった。

菜奈の葬儀を終えた後、翔太は彼女のPCにアクセス。日記を見つけて読み進めていく。そこには彼らの出会いから、婚約までのいきさつが記録されていた。

二人は仕事をきっかけに出会い、趣味のミステリーで交流を深めていく。
菜奈は可愛い弟ができたような気持ちでいたのだが、ある日、翔太から突然の告白。
驚き、嬉しく思いながらも、別れた夫と籍が入ったままで、翔太より15歳も年上であることから、とてもつりあわないと思い、受け入れられない。
だが、翔太からの熱烈アタックが繰り返されるうち、だんだんほだされてゆき、31回目(頑張りすぎ!!)の告白で、ついに菜奈も承諾。

しかし恋人同士になるところまでは良かったが、結婚の二文字が翔太の口から出たところで、菜奈は姿を消す。別れた夫が、いまだ離婚届を出してくれておらず、翔太との結婚は不可能だったのだ。

それでも翔太はあきらめない。翔太は自分の誕生日に、プレゼントだと思って今日だけつきあってと、菜奈を彼女の母校へ呼び出す。
体育館で待っていた翔太は、渾身のプロポーズをはじめ――

というのが、ふたりが出会い、婚約するまでの大筋の流れなのだが、見始めるまでは少々不安を覚えていた。
前回、菜奈の死亡を見せられたばかりなのだ。そのショックも冷めやらぬ状態で、ふたりが仲良くなっていく様子をコメディタッチに描かれても、気持ちがついていかないのではと思っていたのだが……

結論から言うと、まったくもって、心配無用だった(笑)。 

とにかく翔太が翔太すぎて、自然と頬が緩んでしまう。
などといっても、初見の方には意味不明だろうが、翔太という男、とにかく天真爛漫、菜奈が好きで好きでしょうがない、猫まっしぐらならぬ、子犬まっしぐらのような男なのだ。その翔太のエッセンスが濃縮還元される勢いで菜奈に、これでもか! これでもか! とぶつけられていく。

こんな役を、十代の役者ならまだしも、そこらの35歳が演じれば、気持ち悪っとなってしまいそうなものだが、普通に微笑ましくなってしまうのが田中圭の凄いところ。駄々をこねても、甘えても、ただただ可愛くなるのは、もうある意味魔性の男としか、言いようがない。

そんな翔太を困惑しながら受け入れていく菜奈を演じる原田知世も、大人の女性ながら、少女のような透明感を持ち合わせているから、二人が並ぶとより微笑ましさが増していく。

だが、微笑ましい二人の姿は、もう過去のこと。
ひとりきりで日記を読んでいた翔太は、パソコンの中に菜奈からのメッセージを見つける。

翔太は、涙しながら読み進めていくのだが、そのメッセージは、菜奈殺害犯が仕掛けた偽物だった。
しかもあろうことか、殺害寸前の菜奈の様子を映した動画が流れ出し、翔太は狂乱。泣き叫びながら部屋の物に当たり散らした彼は、暗く翳りを帯びた瞳で虚空をにらみつけ――

ここで特別編は終了。第2章反撃編へ続くとなる。
エンディングのシーンは、翔太が反撃に移るトリガーともいうべき一場面に思える。だとすれば、この特別編は決して総集編でも番外編でもなく、れっきとした本編の一部だ。

もし録画していながら、特別編だからという理由で、未見でもいいかと思っておられる方がいるなら、声を大にして言いたい。

ネーミングに騙されて、これを見ないなんて、もったいない!! 特別編も必見ですよ!!

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基本情報:日テレドラマ『あなたの番です』特別編

  • タイトル あなたの番です
  • チャンネル 日本テレビ系列
  • 番組公式サイト トップ あらすじ 人物相関図 キャスト・スタッフ
  • 番組公式ツイート: Twitter@ytvdrama
  • 放送日時(特別編) 2019年6月23日(日)22:30〜23:25
  • 出演
    • 田中圭 原田知世
    • 西野七瀬 横浜流星 浅香航大 奈緒 山田真歩
    • 三倉佳奈 大友花恋 金澤美穂 坪倉由幸(我が家)
    • 中尾暢樹 小池亮介 井阪郁巳 荒木飛羽 前原滉
    • 袴田吉彦 片桐仁 真飛聖 和田聰宏
    • 野間口徹 林泰文 片岡礼子 皆川猿時
    • 田中哲司 徳井優 田中要次 長野里美
    • 阪田マサノブ 大方斐紗子 峯村リエ
    • 竹中直人 安藤政信
    • 木村多江 生瀬勝久