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グランメゾン東京 #11・最終回【マグロ】

満を持して迎えた最終回のテーマは「マグロ」料理。

シェフ・早見倫子(鈴木京香)が目指す、レストラン評価本「ミシュランガイド」の一つでも二つでもない、最高峰の三つ星。それを獲るには、魚料理はマグロで勝負すべきというのが、一緒にレストラン「グランメゾン東京」を立ち上げた尾花夏樹(木村拓哉)の主張だった。

マグロは、加熱すると旨味が消えてしまう、フランス料理に最も向かない食材である。

第7話くらいで銅メダルのような「一つ星」レストランとなってから、次の年に「二つ星」に昇格し、最後に「三つ星」に上り詰めるのがリアルなステップだっただろう。ただ、このドラマでは、最終回に初めてのミシュランでいきなり三つ星に輝くという快挙を目指すことになる。

もしかしたら、一つ星に終わり(一つでもすごいこと)、ライバルの「gaku」に三つ星を獲られる、という結末も無くはないが、まあ考えにくい。

では、どう終わるのだろう。

それは、誰もクリアしたことのないマグロ料理という、困難なチャレンジに成功すれば、初めてのミシュランでも三つ星を獲ることができる、というシナリオだ。

しかし、ありがちなハッピーエンドではドラマは終わらなかった。

前回・第10話の最後に流れた予告編で、木村拓哉の後ろ姿とともに「尾花が店を去る」という文字が映った。
なぜ、この男が店を去ってしまうのか。マグロ料理に失敗した?

この謎解きが、第11話の醍醐味であり、最高峰のフランス料理を思わせる、意外性のある展開だった。

ひとつ気になることがあるとすれば、ライバル店「gaku」側で起きた出来事と関係者の心理の動き、そして前年に二つ星だったこの店が今回どうなったかについての描写は、少し雑に見えた。

ただ、受賞式のシーンは、実際に2019年のミシュランガイドの発表会の映像に、ドラマの登場人物を出演させたリアリティのあるものになっていた。今年も三つ星を獲得した御殿山「カンテサンス」の岸田シェフご本人もカメラに写っていた。ドラマが始まったころは今年のミシュラン発表前だったのにもかからわず、料理監修をしていたのには頭が下がる思いだ。

全体として物語を通じてずっしりと伝わってくるメッセージは、言葉にすると軽くなってしまうが、世界一を目指すなら、トップクラスの能力を持つプロフェッショナルが集結したチームワークと、簡単に妥協しないこだわりが必要だと言うこと。
ひとりの天才が難題を解決してしまうスーパーヒーローものとは違う、深みのあるドラマだった。

P.S.

いくら頭に来ても、一番高いワインの瓶は割れないのね。

今から観るには「グランメゾン東京」

基本情報:TBS日曜劇場「グランメゾン東京」#11・最終回