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グランメゾン東京 #01【手長エビのエチュベ】

ラグビー日本代表-南アフリカ戦で沸いた夜、計らずも静かに始まったドラマ。
「ノーサイド・ゲーム」でラグビーを盛り上げたTBSが、その枠でラグビー中継にまさか喰われるとは、ちょっと皮肉な話でもある。
しかも日本が1位通過をしたので準々決勝は夜だった。このため、まだこのドラマを見ていない方も多いだろう。

ただ、あの力負けしてしまった南ア戦の苦い味を打ち消してくれる口直しには格好の作品かも知れない。全く別世界の、ゴージャスなフレンチレストランを舞台にしたドラマである。

星を獲らせてやるよ、の「星」って

「ノーサイド・ゲーム」のころから流れていた予告編で記憶に残るのが、木村拓哉の「あんたに星を獲らせてやるよ」というセリフだったが、この「星」はレストランガイド本「ミシュランガイド」が店に与える星のこと。

食べログでは星3つを超えると割とよい店であるが、ミシュランの場合は、覆面調査員が厳しい審査をして本当によいと評価された店だけに星が付与される。星が1つ着くだけでも大変な栄誉なのだ。

わざわざ旅行する価値があると言われる「三つ星」は最高位で、ドラマのなかでも言われているとおり、東京でもミシュラン三つ星のフレンチレストランは、ジョエル・ロブション、ロオジエ、カンテサンスの3店しかない。どの店もワイン代を入れたらディナーを二人で5万円ではすまない、東京カレンダーの港区女子の好むような高級店ばかりだ。寿司では、かつて安倍総理がオバマと会食した「すきやばし次郎」がやはり三つ星。

ちなみに、

で、このドラマの料理監修は、そのカンテサンスの岸田周三シェフが手がけている。

物語は、パリにあるミシュラン三つ星レストランに修行を申し出たシェフ、早見倫子(鈴木京香)に、かつてパリの名シェフと言われた尾花夏樹(木村拓哉)が声をかけて「星の獲れるレストラン」を東京につくろう、というものだ。

ドラマの見どころは?

「ノーサイド・ゲーム」は、あまり大衆的でなかったラグビーを大衆的なものにしてくれた。
いっぽう、このドラマは、この第1話の「手長エビのエチュベ」のような聞き慣れない料理について、鈴木京香と木村拓哉がハイレベルな会話をするのを見ても、なんかよくわからないがカッコいいかも、と言うのが正直なところ。
凄腕の医師が登場する医療ドラマのように「なんかよくわからないけれど」凄そうな料理をキムタクの指南で鈴木京香が造り上げていく、という流れなのだろう。

そこは「HERO」「A LIFE〜愛しき人〜」などで、異端のプロフェッショナルを演じてきた木村拓哉の最も得意とするところで、今回も迫力十分。
ビストロスマップで鍛え上げた料理の腕の蓄積もあって、手つきもプロっぽい。

彼が演じる尾花シェフは、ドラマの冒頭で紹介されるとおり最高位に上り詰める直前まで行った男だが、失脚してしまう。
そのどん底から這い上がる(たぶん紆余曲折ありながら最終回までには三つ星を獲る?)姿が、「下町ロケット」などに通じるTBS日曜劇場お決まりの逆境をはね返す感動を呼ぶのだろう。

P.S.

ミシュランの覆面調査員って、このドラマで描かれているように、実は店にバレてるんですかね。

今から観るには「グランメゾン東京」

基本情報:TBS日曜劇場「グランメゾン東京」#01