Drama View – テレビドラマのレビューサイト

TBSテレビ日曜劇場『半沢直樹』2020年 #01

ドラマ・半沢直樹、ついに始動
熱い銀行員バトルが帰ってきた!

東京セントラル証券にIT企業・電脳雑技集団より、業界第5位の検索システムを持つ企業・Spiralの買収話が持ち込まれる。1500憶円という大金が動く大型案件だ。東京セントラル証券の営業企画部部長・半沢直樹(堺雅人)は、部下たちと検討を始める。だが、その大型案件は、外部からの横槍で突然消滅してしまう。その背後には、東京セントラル証券の親会社であり、かつて半沢自身が所属し子会社出向の憂き目にあわされた、東京中央銀行の影が見え隠れしていた――

「やられたらやり返す、倍返しだ!!」
あの名ゼリフで大盛り上がりしたドラマ・半沢直樹の2020年度版がスタートした。

わかっていたことだが、初回の冒頭から、いきなり熱い。
なにせ前シリーズでの半沢の宿敵である、東京中央銀行取締役・大和田暁(香川照之)の忠実な部下だった伊佐山泰二(市川猿之助)の、半沢への呪いのような恨み言からスタートするのだ。この伊佐山の顔が、とにかく悪い。

半沢直樹が面白い理由のひとつは、間違いなく、主人公半沢の敵たちのどす黒さにある。新シリーズ最初の敵が、この悪い顔の伊佐山というだけで、ワクワクしてしまう。

そして、この恨み言が出た時点で、開始1分にも満たないというのに、実質上のお話が始まる前から、すでに半沢のピンチは確定事項だ。そこにかぶせて、半沢の元へ持ち込まれる超大型案件。ホットスタートにも程がある。

そこから後は怒涛のように戦いの物語が押し寄せてくる。
親会社にして、トラブルの黒幕である東京中央銀行のパワーバランス事情。東京セントラル証券内部の、親会社出向組と生え抜き社員の対立問題に、裏切り者の存在。

冷静に考えれば、このドラマ、おじさんたちが企業で働く姿が描かれているお話だ。そのはずなのに、見ているだけで血沸き肉躍らずにいられない。現代劇でありながら、武将たちが丁々発止の攻防を繰り返す、戦国時代劇でも見ているような興奮でもっていかれてしまうのだ。

などと書くと、ひたすら暑苦しくてしんどそうと思われるかもしれないが、そこはご安心を。半沢の癒しになってくれる奥さん・花(上戸彩)がほんわかさせてくれるカットもあれば、頼れる友人・情報通の渡真利忍(及川光博)も健在。さらに半沢の部下、森山雅弘(賀来賢人)の友情話など、さまざまな物語が緩急ほどよく織り込まれているから、最後まで疲れることなく、ひと息に視聴できる(むしろCMになるまで、お茶を淹れに立つ気にすらなれないと思います)。

そもそも、このドラマは20年春にラインナップされていた作品だ。それがコロナ禍の影響で、開始が延期、待ちに待たされ期待度は上がりまくっていた。その上がり切ったハードルを、ものともしないあたり、流石は半沢直樹というしかない。

そして第1話のエンディングでは、あの名ゼリフが半沢の口から叩きつけられる。いや、口にする直前から、そろそろ来るだろうとは思っていたけれど、聞いた瞬間、否応なしにテンションが上がってしまった。

こんな終わり方をされては、終ってすぐから、もう次回が気になって仕方ない。
その次回は、苦境の救世主となるホワイトナイト(証券用語で、敵対的買収を仕掛けられた会社を、友好的に買収しようと動いてくれる会社のこと)が現れる様子。もちろん一筋縄でいく展開ではないだろうから、今度はどんなトラブルが発生するのか、あれこれ想像するだけで楽しい。

ちなみに、今回買収を仕掛けられているIT企業Spiralは、2020年1月に放送されたスピンオフドラマ「半沢直樹II・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~」に登場している企業で、登場人物たちも一部重複している。もし未視聴で、次週が待ちきれない方は、つなぎに配信サイトで視聴しておくのもいいかも。

尚、こちらのスピンオフドラマは、当サイトにも編集長の手によるレビューが掲載済ですので、気になる方はあわせてどうぞ!

今から観るには『半沢直樹』

基本情報:『半沢直樹』2020年シーズン