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関西テレビ火曜ドラマ『探偵・由利麟太郎』第二話・憑かれた女

謎の外人に洋館へ連れてゆかれるホステス
館の暖炉では人の腕が燃やされ、バスタブには死体が――!?

クラブのホステス・吉岡エマ(水上京香)は、正体不明の悪夢や幻覚に怯える日々を過ごしていた。ある日、エマをドラマ女優として使いたいという外人が現れる。周囲の勧めもあり、エマは外人の車でオーディションのため謎の洋館へ向かった。だが、洋館で死体を見たエマは意識を失ってしまう。路上で意識を取り戻したエマを、友人・井出圭一(尾上寛之)と一緒に発見した小説家・三津木俊助(志尊淳)は、探偵にして犯罪心理学者の由利麟太郎(吉川晃司)に相談するが――

冒頭のあらすじを紹介しただけで、悪夢や幻覚、謎の外人、古びた洋館に、暖炉で燃える腕、洋風のバスタブに入った死体と、おどろおどろしく怪しげなギミックが満載だ。現代京都を舞台にした本作だけれど、1話同様美しい映像にこれらが落とし込まれていて、原作の、時代がかった雰囲気を見事に再現している。

ちなみに1話では原作とドラマの時代背景の違いが、一抹のチープ感に繋がった箇所もあったのだけれど、今回に関しては、時代の違いがいい意味にも作用している。昭和初期にはありえなかった技術が、令和の現代では一般に普及しているお陰で、犯人の行っていた一部の行為にリアリティが出ていた。

ミステリーの醍醐味だから、犯人が誰だかは伏せさせてもらうけれど、このお話、原作とは真犯人が異なっている。犯人は一番大切な箇所だから、本来なら、ここが改変されてしまうのは、あまり良いことではない。

けれど、今回に関しては、アリな変更だったと感じた。物語上の無理がなかったし、この改変のお陰で、一時間ドラマとして見る上で、ほどよい後味をキープできていた(原作はドラマの内容に加え、もう一段どんでん返しがある分、なかなかに後味が強烈です)。

主人公・麟太郎もとにかく、格好いい。何より終盤、犯人を追いつめたところで、吉川晃司のステージ上でのシンバルキックを思わせるハイキックが炸裂した場面では、思わず声を上げてしまった。冷静に考えれば、激しくロックな動作であるはずなのに、ドラマの雰囲気を壊すことなく、古風な美しさと融和しているのが何よりすごい(この場面では、サーベルも扱うのですが、これがまた様になっていて、納刀の様子など、たまらなく美しかったです)。

総じて、今回もかなり楽しめる、上手いドラマ化だった。
全五話の予定だから、次週は早くも中盤戦だ。残り三話、濃密なミステリーを丁寧に楽しんでゆきたい。

今から見るには『探偵・由利麟太郎』

基本情報:関西テレビ火曜ドラマ『探偵・由利麟太郎』第二話・憑かれた女