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NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第18話【越前へ】

物語は新たな局面へ!
明智光秀(長谷川博己)たちは越前へ向かう

美濃の内乱で斎藤高政(伊藤英明)に追われる身となった明智光秀(長谷川博己)は、明智家の皆を心配し駆けつけた駒(門脇麦)と合流の後、家族と共に美濃を脱出。さらに帰蝶(川口春奈)の依頼で、援助に現れた伊呂波太夫(尾野真千子)の手引きにより、一行は朝倉家が治める越前へ向かうこととなる。一方、美濃内乱の余波は尾張・織田家にも及んでいた。織田信長(染谷将太)は、高政と結んだ弟・信勝(木村了)の対処に頭を悩ませるが――

こちらが、今回のあらすじになる。

前話ラストでようやく明智家当主となった光秀だが、今回もまだ自身ではあまり大きな決断はしていない。だが、なんだか凄いなあと感心したのは、当主となり故郷からも離れて尚、光秀が自身で率先して決断してゆく必要性が生まれなかった事実だ。

というのは、光秀の人柄が周囲にそうさせるのか、とにかく救援の手が差し伸べられてしまうのだ。心配して駆け付けた駒に、伊呂波太夫を派遣した帰蝶……このふたりだけなら、光秀へのほのかな思いがそうさせているだけとも思える。

しかしそれに加えて、足利将軍家の家臣・細川藤孝(眞島秀和)までが、各地の大名家に、光秀が落ち延びてきたらよろしくといった書状を送って、陰ながら支援しているから、もうどれだけ愛されキャラなのかといった感じで、ついくすりとしてしまった。

物語そのものは、敗者となって逃亡中のことで、決して明るい内容ではない。だが、どうしようもない局面で救いの手が差し伸べられる展開は、2020年5月現在のリアルな情勢に対する、視聴者の気疲れを思えば、偶然にしてもありがたい(実際、なんだかホッとしました)。

さておき、今回一番の目玉は終盤だろう。ここまでのあれこれを全部忘れさせる勢いで、もっていったのが、既存作品とは一線を画した染谷信長だ。

純真なサイコパスとでもいえばいいだろうか、本気で涙しながら、実の弟を手にかけるという、どす黒い行為に踏み込んでいく信長の描かれ具合は圧巻。この信長に、善良な常識人光秀がまともに絡めるとは到底思えない。本能寺での結末に向かうのも当然だろうと、早くも納得してしまう。

さて次回は、その信長暗殺を阻止しようと光秀が、京の都で奔走することに。後の歴史を考えれば皮肉そのものの展開を、史実との狭間の創作部分で、どう魅せてくれるか、楽しみに待ちたい。

今から観るには:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」

基本情報:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」第18話