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NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第17話【長良川の対決】

美濃を二分する戦が勃発!
その決着は――

斎藤道三(本木雅弘)と跡を継いだ高政(伊藤英明)の間で、美濃を二分する戦が始まった。集まった兵数を比べれば、道三側が圧倒的に不利な状況。しかしそんな中、明智光秀(長谷川博己)は、道三に味方しての出陣を決断する。一方、道三の娘・帰蝶(川口春奈)の嫁ぎ先である尾張の国では、織田信長(染谷将太)が舅である道三救援のため出陣しようとしていた――

道三と高政が開戦し、ついに美濃を舞台とした物語もクライマックス。
もちろん、開戦したからには、大河の花ともいうべき、合戦シーンも満載。見どころいっぱいの一話となった。

前半は、とにかく合戦が熱い! 

陣太鼓にあわせての進軍から始まり、川の中でのぶつかりあい、細かい1カット1カットに至るまで、臨場感がある。CGを駆使したような大軍同士の絵や、軍事シミュレーションのような俯瞰はないけれど、より、兵ひとりひとりに近い視点での殺陣が、リアルな殺し合いの迫力を倍増させていて、画面から目が離せない。

そこから、道三が一騎駆けして高政のもとへ向かい、両者の直接対決へ場面が移っていく。このくだりは、ドラマの創作だ。けれど、これがまたいい! 詳細はドラマで見ていただきたいので割愛するが、試合に負けて勝負に勝ったというような、いかにも本木道三らしい最期で、胸が熱くなる。

そして後半は、高政勝利に終わった後、敗者側についていた明智家のその後が描かれていく。

いつ高政が襲ってくるか分からない中で、光秀は叔父・光安(西村まさ彦)より家督を譲られる。その上で、当主としていつか明智家を再興させるべく、身内と共に美濃から脱出することに――ここで、番組開始から描かれてきた美濃の物語は、一段落。

初回から、美濃の人びとや風景を丁寧に描いてきた本作だから、一抹の寂しさを感じずにはいられない。とはいえ、天下を制した信長を討った光秀を描く以上、いつまでもひとつの国にじっとさせてもおけないし、次の展開への期待が高まっていく。

次回は、光秀たちが、越前朝倉家へと落ち延びていく模様。光秀という人物は、若い頃の詳細がはっきりしない武将だ。光秀が朝倉家に仕えていたという説もあるけれど、まだ当面は創作の余地が多いはず。それだけに、光秀が新しい土地で、どういう活躍をしてくれるかは、予測がつかない。

大河好きとしては、道三の最期のような熱い創作を、次回以降も期待したいところだ。

今から観るには:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」

基本情報:NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」第17話