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NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第15話【道三、わが父に非(あら)ず】

美濃の当主が、斎藤高政(伊藤英明)に代がわり
しかし、国内は治まらず――

側室・深芳野(南果歩)の死をきっかけに、斎藤道三(本木雅弘)は嫡男・高政に家督を譲った。だが、道三の正妻の子・孫四郎(長谷川純)は、納得しない。また、尾張の織田家へ嫁いだ帰蝶(川口春奈)も、織田と反目しそうな高政が美濃の実権を握ることを快く思っておらず、孫四郎を後押しする文を送っていた。帰蝶の行為を放置できない高政は、明智光秀(長谷川博己)に、尾張へ行って、釘をさしてくるよう命じるが――

こちらが今回の前半あらすじだが、もう最初のほうを見ただけで、またしても光秀が、あちこちの板挟みになり、困ってしまう展開だとわかる(もう毎度おなじみですね・笑)。

けれど、今回は前回までと違い、光秀がコミカルに困っていられるだけの、物語的な余裕はない。斎藤家の同族争いは悲惨な結末を迎えてしまうし、同じ頃、織田家でも、同族争いに血を流すことでの決着がつけられる。

歴史のなりゆき上、必要な惨劇ではあるけれど、あくまで惨劇でしかなく、視聴者が心ふるわせて涙できる類の悲劇ではない(物語全体から見れば、さほど大きなエピソードではないし、死んだ人びとはドラマの重要人物とは言い難いから、仕方ないのだけれど)。それだけに、なんというか、ただただ、モヤモヤが続く回だった。

ただ、通常のドラマと違って、大河の場合はある程度、歴史の流れから次の展開が読める分、モヤモヤが続く=つまらない回だったとはなりにくい。次回あたり、モヤモヤどころではない大きな悲劇を伴う事件がやってくることが、目に見えているから、むしろこの後への期待が高まってしまう。

そして大河で最初にやってくる、物語の大きな区切りといえば、なんといっても、序盤では実質上の主人公といってもいい活躍をみせる、主人公の親世代の人々の退場だ。本作では、光秀と血のつながりはないが、斎藤道三が該当する。

その道三の最期が、どう描かれるか。序盤最大の山場はもうすぐそこに迫っている。15話で抱えたモヤモヤを、一気に発散させてくれる展開を期待したい。
(ついでに、そろそろ光秀も活躍してくれるといいのですが……麒麟がくるは、群像劇として十分面白いけれど、光秀の影が薄すぎて、ちょっと寂しいのも事実・笑)

今から観るには:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』

基本情報:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』第15話