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相棒 season18 #20 【ディープフェイク・エクスペリメント】

杉下右京(水谷豊)の推理力が減退?
原因は、あのお店の欠乏症で――

警視庁内部で、特命係・冠城亘(反町隆史)の口から、右京の推理力が減退しているとの噂が広められていた。そんな中、元東亜ダイナミクス社長・桂川宗佐(村上新悟)が殺害される。事件現場からは、桂川と内閣情報調査室・柾庸子(遠山景織子)のベッド動画が発見。内閣情報調査室の人間が関わる事件ゆえの配慮から警視庁上層部はこの事実を隠匿。事件に興味を持った右京と亘は、サイバーセキュリティ対策本部・青木年男(浅利陽介)から、ベッド動画を入手、捜査に乗り出すが――

テーマはサブタイトルの通り、ディープフェイク。今の技術を用いれば、映像の改ざんはたやすい。映像は日々の生活でも、多く目にするものだからこそ、
常にその事実を頭の隅に置いて見るべきと、改めて思わされた。

season18最終話は、そうした社会的事情を盛り込んだミステリーとしての面白さはもちろん、ファンサービスにあふれたスペシャルな一話になっていた。

登場こそないものの、かつてのレギュラー陣の名前があちこちに出てくる。前seasonを、なかったことにせず、きちんと歴史に組み込んでもらえるのは、旧来のファンには何よりのプレゼントだ。

しかも今回は、初代相棒亀山薫(寺脇康文)・神戸尊(及川光博)に加え、劇場版Ⅱで死亡した警察庁の元官房長・小野田公顕(岸部一徳)の名前まで出てきたから、喜びもひとしお。

その上、特命係の安らぎの場であった小料理屋・花の里がなくなっていた問題にも、決着をつけてくれたし、準レギュラー陣も多数登場する嬉しい最終回だった。

その中で、軽い不満点をもらすなら、season18第一話から、いかにも曲者っぽく登場していた桂川が、思いのほかあっさり殺害されたことだろう。ただ、この点に関しては、もしかしたら……という推測でしかないけれど、再登場の可能性があるかも。

もともと桂川は、season18で、国防やテロをテーマにした回に、そういった意味合いでの関係者として登場していた人物だ。元衆議院議員・片山雛子(木村佳乃)とのつながりもあった。にも関わらず、今回の殺害に関しては、そのいずれも、関係していない。

また、内閣官房長官・鶴田翁助(相島一之)が、いかにも今後も関わってきそうな大物として初登場したのも気になる。

このあたりを総合して考えるなら……、今後なんらかの形で、生前の桂川が関わっていた事柄が絡む大事件が発生、雛子や鶴田が暗躍する中、特命係が捜査を進めるような物語が描かれてもおかしくない。

それに、相棒劇場版もⅣが2017年の公開だったから、そろそろ次回作が来てもいい頃では――などと想像をたくましくしてしまう。

以上はあくまで、一相棒ファンでもある筆者の、そろそろ劇場版が見たいという、願望まじりの想像にすぎないけれど、そう思える余地のある物語だったのは事実だ。来週からの相棒ロスを考えると、楽しい想像ができる余地があるのはありがたい。

最後に、ひとつ軽くおすすめを。
最近相棒を見始めて、今回話題になっていた、右京の花の里欠乏症の事情を知らない方は、season10の第12話「つきすぎている女」をご覧になるといいかも。
あわせてみると、楽しさ倍増すること請け合いですから!

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#20