斎藤道三(本木雅弘)の娘・帰蝶(川口春奈)の縁談
明智光秀(長谷川博己)は道三親子の間で板挟みに――
京の都から美濃へ帰った光秀を待っていたのは、主・道三の娘・帰蝶の嫁入り話だった。尾張の織田信秀(高橋克典)から道三に、和議を結ぶとともに、帰蝶と信秀の子・信長(染谷将太)を縁組させたいという申し出があったのだ。だが、帰蝶は光秀にこの件を止めてほしいと頼む。
簡単に流れだけを見れば、アットホームな内容にも思えるが、そこは戦国大名同士の、和議に絡んだ縁談だけあって、そうほんわかした話ではない。元敵国への嫁入りとなれば、実際には人質とられるも同然の婚姻となる。
そうした状況を描くことにおいて、今回も、脚本の配分というか、塩梅がよいのが好印象だった。ただただ女性が時代の犠牲になるような描き方でも、時代背景を無視して現代的な恋愛観や女性のあり方をねじこむ描き方でもなく、両者のバランスがほどよくとれているから、登場人物たちへ共感できると同時に、歴史物としての説得力も失わないのだ。
道三は織田との同盟・縁談を必要と強く考えながらも、帰蝶に人質同然の嫁入りをさせることに対して辛い心情も吐露し、かつ無理やり嫁がせるのではなく、きちんと説得しようとする。帰蝶は嫁入りを拒む意志を示しながらも、事態を見極めようとする賢さも持ち合わせている。そして光秀は、縁談をすすめたい道三と、拒みたい帰蝶の間で板挟みになりながらも、双方の思いをしっかり受け止め、何が最善か悩みつつ動いていく。
各人の心情が、丁寧に描かれているから、見やすくて一時間があっという間だった。
その上で、次回は同盟の政治的な部分が色濃く描かれていくことになりそう。小難しい話はちょっと……と思う視聴者でも、この第7話での、前段があるから、入りやすいはず。
さらに次回はついに信長が登場(今回もちらっとだけ映ってましたが)する回でもある。信長・秀吉・家康の三英雄は、大河でも他の時代劇でも数多く描かれてきた人物だけに、『麒麟がくる』では、どんな信長になるのか注目していきたいところ。
次回も、見逃せない回になりそうだ。
今から観るには:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』
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基本情報:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』第7話
- タイトル 麒麟がくる
- チャンネル NHK総合/BS/BS 4K
- 番組公式サイトトップ|番組紹介|あらすじ|登場人物|相関図
- 放送日時(第7話): NHK総合 2020年3月1日(日)20:00〜20:45 / NHK BSプレミアム 18:00~18:45 / NHK BS 4K 9:00~9:45
- 出演
- 明智光秀(十兵衛):長谷川博己
- 明智光安(光秀の叔父):西村まさ彦
- 牧(まき、光秀の母):石川さゆり
- 藤田伝吾(明智家の家臣):徳重聡
- 煕子(美濃の土豪妻木氏の娘、光秀の正室):木村文乃
- 斎藤道三(利政、美濃の守護代):本木雅弘
- 深芳野(道三の側室):南果歩
- 帰蝶(濃姫、道三の娘):川口春奈
- 斎藤高政(義龍、道三の長男):伊藤英明
- 土岐頼芸(美濃の守護):尾美としのり
- 稲葉良通(一鉄、道三の有力家臣):村田雄浩
- 織田信秀(織田信長の父):高橋克典
- 土田御前(信秀の継室、信長の母):檀れい
- 織田信長(信秀の嫡男):染谷将太
- 平手政秀(織田家の家臣):上杉祥三
- 藤吉郎(尾張の最下層農民、のちの秀吉):佐々木蔵之介
- 望月東庵(医者):堺正章
- 駒(望月東庵の助手):門脇麦
- 松永久秀(戦国大名、三好長慶の家臣):吉田鋼太郎
- 足利義輝(第13代将軍):向井理
- 三淵藤英(足利将軍奉公衆):谷原章介
- 細川藤孝(足利将軍奉公衆):眞島秀和
- 足利義昭(室町幕府最後の将軍):滝藤賢一
- 今川義元(東海最強の戦国大名):片岡愛之助
- 太原雪斎(今川義元の軍師):伊吹吾郎
- 伊呂波太夫(旅芸人一座の女座長):尾野真千子
- 菊丸(三河出身の農民):岡村隆史