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相棒 season18 #17 【いびつな真珠の女】

平成の毒婦、再び
特命係・冠城亘(反町隆史)をも、操ろうと――!?

両手の親指が切断された遺体がみつかり、警察は過去にも同様の事件を起こした指切り男による殺人と推定、捜査を始める。特命係・杉下右京(水谷豊)は、この事件に興味を持つが、相棒の亘は上の空。以前、知り合った事件関係者で、思いを寄せる新崎芽依(朝倉あき)と連絡がつかなくなっていたのだ。その亘に、拘置所に拘留中の未決囚・遠峰小夜子(西田尚美)が、弁護士を通し、会いたいとコンタクトを取ってくるが――

今回は、過去に別々の事件で特命係と関係があった二人の女性が絡む事件だ。

ひとりは、season16・第9話「目撃しない女」に登場した事件関係者・新崎芽依。そしてもうひとりは、season17・第6話「ブラックパールの女」に登場した平成の毒婦・遠峰小夜子。

相棒は長い歴史を持つドラマだけに、過去の事件関係者が再登場すること自体はよくあるけれど、別個の事件関係者が、新たなひとつの事件に絡んでくることは珍しい。上記の二話、そしてこの17話はともに、同じ脚本家・山本むつみの担当回だからこそ、実現した話だろう。

このふたり、同じ脚本家が描きながら、まったく真逆の女性像なのが興味深い。芽依は、キッチンカーで焼き立てパンを販売する、柔らかな雰囲気の可愛らしい女性で、亘を魅了してしまう。一方、小夜子は連続殺人容疑で拘留される希代の毒婦で、拘置所の中からでさえ人を操り、右京をも警戒させる女性だ。

このふたりは、もうひとつ正反対の性質を持っている。そのキーとなるのが、人の顔。

新崎芽依は、相貌失認のため、人の顔が判別できない。逆に小夜子は、一度見た人の顔は絶対に忘れない相貌認識能力の持ち主。

全てにおいて対称的なふたりの女性が、事件と特命係にどう関わっていくかが、今回の見どころだ。そして、今回の事件そのものは、特命係の活躍で解決するが、ふたりとも、今後も登場の可能性を残したエンディングになっていた。

特に小夜子のほうは、まだまだ事件を起こしそうな気配を醸し出していたから、来season以降の相棒を楽しむためにも、この17話は見逃さないほうがいいだろう。ゲストキャラクターが、再登場のたびにドラマの世界観に深みを与えてゆくのは、長寿番組ならでは。おさえておかない手は、ありませんよー!

そして、次回もまた、ある意味今回の小夜子以上に濃い、過去の事件関係者が登場。初代相棒・亀山薫(寺脇康文)が活躍していた頃、半ば準レギュラーのように登場していた、ゲイバーのヒロコママ(深沢敦)だ。ひさしぶりの登場だけれど、見た目からインパクトのあるキャラクターだけに、初代相棒時代からの視聴者なら、ひと目で思い出せるはず。

どんな事件になるかはもとより、ヒロコママと関係が深かった薫や、薫の妻となった美和子(鈴木砂羽)、右京の元妻たまき(益戸育江)ら、初期レギュラー陣についての言及がないかも、長年の相棒ファンには気になるところ。初代相棒時代のあれこれを思い出しながら、楽しみに待ちたい。

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#17