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NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第4話【尾張潜入指令】

光秀、尾張の国へ
戦国時代の諜報戦

斎藤道三(本木雅弘)の妻の治療が一段落し、医師・東庵(堺正章)は京へ帰ることに。だが、東庵と宿敵である尾張の織田信秀(高橋克典)が、知己と知る道三は、ただでは帰さない。東庵が帰路、尾張を訪れると読んだ道三は、今川家との合戦で重傷を負った信秀の容態を探るよう命じる。そして東庵の目付け役に任じられた明智光秀(長谷川博己)もまた、菊丸(岡村隆史)と共に、尾張へ向かうことになり――

「尾張潜入指令」というサブタイトルだけみると、光秀たちが忍者のような活躍をしそうだけれど、より高度な情報戦、といったイメージの一話だった。

道三が、信秀の容体を知ろうと東庵を利用すれば、信秀もまた、来訪した東庵に健康そうな様子を見せつけ、逆に美濃の情報を引き出していく。なんともクールで渋い、情報戦争だ。

また、その両者の諜報戦以外でも、当時の人や情報の流れが、垣間見える回でもあった。医師という立場であれば、敵国との往来もあっただろうし、信秀のもとに、京の貴族が蹴鞠の指南に来ていたのも印象的だった。蹴鞠を習うこと自体は、田舎大名と馬鹿にされないよう、という理由にしても、同時に京の情報も得られることになる。

『麒麟がくる』はドラマであり、フィクションだけれど、戦国のリアルが伝わってくるのも興味深いところ。

一方、歴史的興味はちょっと置いて、純粋にドラマとしての側面から見る場合、今回はなんといっても、東庵を演じる、堺正章の力を見せつけられた回だったといえるだろう。斎藤道三と織田信秀という、戦国の猛者たちと渡りあいながら、一介の医師にすぎない東庵が、飄々とした軽みをもって世を渡っていく。

軽みといっても、ただ軽いわけではない。厳しい時代の中で尚、軽みを貫ける強さ、人間的な凄みが、堺正章の東庵にはある。他の役者さんがやっていたなら、戦国大名間の使い走りに終わっていたかもしれないけれど、きっちりとひとつの生き様が表現されていた。

その分、主人公光秀の活躍は、ちょっと割をくってしまっていた感じはあるけれど、そこは次回以降に期待したい。尚、次回は、光秀が鉄砲鍛冶を探しに、再び京へ向かうとのこと。京の都には、今後の歴史に関わる重要人物たちも多いから、光秀をとりまく物語も大きく広がっていきそうだ。

今から観るには:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』

基本情報:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』第4話