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相棒 season18 #15 【2週連続スペシャル:善悪の彼岸~深淵】

右京VS最強の敵。
前後編スペシャル後編は、まさかの哀愁漂う結末に!?

山手線沿線で生じた連続殺人事件を捜査する中、特命係・杉下右京(水谷豊)は、今回の事件が、かつてロンドンの地下鉄を舞台に起きた、逆五芒星事件を模倣したものではと考える。そうする間にも、新たな殺人が起こり、右京と相棒・冠城亘(反町隆史)は、ロンドンから来日中の南井十(伊武雅刀)が、五芒星事件を再現しようとしているとの確信を深めていく。さらなる殺人を防ぐべく、動く特命係だが――

事件の核心に迫ったところから始まった後編は、右京と亘、右京と南井という、二組の相棒の物語だ。事件の謎ときは、もちろんあるのだけれど、今回最大の見どころは、ドラマそのもののタイトル通り「相棒」だろう。

事件の犯人と目される南井は、ロンドンの逆五芒星事件の折に、当時相棒であった刑事を殺害され、失っている。その直後に、やはり三代目相棒を失なった右京とロンドンで再会。共に事件を捜査し、親交を深めた経緯があった。

その南井が、逆五芒星事件をなぞるなら、今回の事件の中にも「相棒」の死が含まれてくるはず。右京は自分の相棒こそがターゲットにされると考え、彼を特命係から外そうとする。亘を守るためひとりで南井と対決しようとする右京と、熱い正義感から右京の相棒であり続けようとする亘、それぞれの相棒への思いの強さには、心震わされずにはいられなかった。

そしてこれまで、特命係の前で事件を起こしながら、二度も逃げきってきた南井と右京の関係にも、今回で決着がつく。この決着については、ご自身の目で確かめていただきたいのだけれど、かつての相棒・南井を抱きしめる右京の姿が、ただただ切なかった。

――と、決着がついたと書いたすぐ後に、その言葉をひっくり返すのもどうかとは思うのだけれど、この右京と南井の物語は、もしかしたら、まだ今後も続きがあるかもしれない。ネタバレを含むので、詳細は差し控えるが、相棒シリーズのファンなら、今回のエンディングは、シリーズ初期のある登場人物を想起せずには、いられないものだった。

その人物とは、浅倉禄郎(生瀬勝久)。初代相棒・亀山薫(寺脇康文)の親友にして有能な検事でありながら、「平成の切り裂きジャック」と呼ばれる連続殺人事件を起こした人物だ。この浅倉は、今回の南井の結末と似た経緯をたどりながらも、その後も再登場を果たしている。南井についても、再登場は十分ありえる話だろう。

南井は、最強の敵であり、また右京の相棒のひとりでもある強烈なキャラクター。このまま終わりになるのは惜しいから、再登場を期待したいところだ。尚、初代相棒はあくまで薫だけれど、この南井、おそらくオフィシャルに右京の相棒のひとりとして認識されている。その秘密は、南井の本名にある。

南井の本名は、鏡見悟(かがみさとる)。
代々の相棒のネーミングのしきたりである、「か」から始まり、「る」で終わるという形式が、南井にも反映されているのだ。

さて次回は、特命係・第三の男こと陣川公平(原田龍二)が、帰ってくる。陣川といえば、右京の相棒以外で、特命係に在籍したことのある数少ない人物で、正義感は強いものの、惚れやすいトラブルメーカー。今回とは一転、コミカルな展開が予想される。登場のたび、誰かに惚れては失恋し続ける陣川が、今回はどんな失恋をしてくれるのか、楽しみに待ちたい(失恋前提で、楽しみにするなんて、ひどいですが、相棒で陣川くんといえば、やはり失恋なのですw)。

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#15