鉄砲と名医を求める畿内への旅から、美濃へ帰還した明智光秀(長谷川博己)を待っていたのは、織田の大軍との戦だった――

というわけで、戦国時代が舞台の大河といえば、やはりこれがないと始まらない、合戦シーンが今回の見どころといえるだろう。

戦うのは、後の斎藤道三である斎藤利政(本木雅弘)と、織田信長の父・信秀(高橋克典)。美濃斎藤側の兵力四千に対して、織田は二万の大軍でやってくる。

戦といっても、関ケ原の戦いのように、広大な土地で大軍勢同士が激突するわけではない。美濃の稲葉山城下へ侵入してきた大軍を、光秀たち斎藤側が迎え撃つ防衛戦なのだけれど、町の中で木の盾を構えて敵の進路を塞ぎながら戦う様子が、なかなかリアルで見ごたえがある。

この戦の中で、光秀は奮戦し、侍大将の首をあげはするものの、戦の帰趨を決定するほどの活躍はない。いまだ、それなりに有能な若者の域を出てはいないのだ。そういう意味で、この第二話の実質の主役は、「道三の罠」とタイトルにもなっている通り、道三こと利政だ。

利政のトリッキーな采配が、戦の勝敗を決し、また戦が終われば、斎藤家の主筋にあたる土岐頼純(矢野聖人)にまで手を伸ばしていく。そのいかにも戦国下克上の体現者らしい曲者ぶりを、本木雅弘が見事に演じていて、このまま大河ドラマ「斎藤道三」になってもいいんじゃないかと思えるほど、引き込まれてしまった。

この強烈な道三主人公モードは、次回もまだ、続く様子。『麒麟がくる』では、大河ドラマに多い、主人公の子役時代がなかったが、子役時代がある場合は、主人公の父が初期の実質上の主役となることが多い。明智光秀には、父はもういないから、しばらく道三が主人公の父のような活躍ぶりを見せる流れなのかもしれない。

それにしても、この道三、やたらカッコいいなあ。謡まで様になっちゃってるのは、もう卑怯ですよ!

今から観るには:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』

基本情報:NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』第2話

  • タイトル 麒麟がくる
  • チャンネル NHK総合/BS/BS 4K
  • 番組公式サイトトップ番組紹介あらすじ登場人物相関図
  • 放送日時(第2話):NHK総合 2020年1月26日(日)20:00〜20:45 / NHK BSプレミアム 18:00~18:45 / NHK BS 4K 9:00~9:45
  • 出演
    • 明智光秀(十兵衛):長谷川博己
    • 明智光安(光秀の叔父):西村まさ彦
    • 牧(まき、光秀の母):石川さゆり
    • 藤田伝吾(明智家の家臣):徳重聡
    • 煕子(美濃の土豪妻木氏の娘、光秀の正室):木村文乃
    • 斎藤道三(利政、美濃の守護代):本木雅弘
    • 深芳野(道三の側室):南果歩
    • 帰蝶(濃姫、道三の娘):川口春奈
    • 斎藤高政(義龍、道三の長男):伊藤英明
    • 土岐頼芸(美濃の守護):尾美としのり
    • 稲葉良通(一鉄、道三の有力家臣):村田雄浩
    • 織田信秀(織田信長の父):高橋克典
    • 土田御前(信秀の継室、信長の母):檀れい
    • 織田信長(信秀の嫡男):染谷将太
    • 平手政秀(織田家の家臣):上杉祥三
    • 藤吉郎(尾張の最下層農民、のちの秀吉):佐々木蔵之介
    • 望月東庵(医者):堺正章
    • 駒(望月東庵の助手):門脇麦
    • 松永久秀(戦国大名、三好長慶の家臣):吉田鋼太郎
    • 足利義輝(第13代将軍):向井理
    • 三淵藤英(足利将軍奉公衆):谷原章介
    • 細川藤孝(足利将軍奉公衆):眞島秀和
    • 足利義昭(室町幕府最後の将軍):滝藤賢一
    • 今川義元(東海最強の戦国大名):片岡愛之助
    • 太原雪斎(今川義元の軍師):伊吹吾郎
    • 伊呂波太夫(旅芸人一座の女座長):尾野真千子
    • 菊丸(三河出身の農民):岡村隆史