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半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~

は言え、1月から始まるのは『テセウスの船』で、『半沢直樹』は4月から。

その春を待たずに先行放映されたのが、このエピソードゼロである。

前作の最終回の結末は、東京中央銀行で上司の不正を暴いたヒーローの半沢直樹(堺雅人)が、まさかの左遷を言い渡されるところでプツリと終わった。

出向先は、東京セントラル証券という株式の売買を扱う子会社だ。

オーソドックスな続編のシナリオとしては『ノーサイド・ゲーム』がそうであったように、左遷先でひと暴れして、元の銀行に戻るのであろう。

その前哨戦となる、今回の「エピソードゼロ」では、舞台となる東京セントラル証券に営業企画部長の半沢直樹の席がある。しかし、どうやら出張で不在のようだ。

このエピソードでメインを務めるのは「サバイバル・ウェディング」で波瑠といい関係になる若手広告マン、そして『なつぞら』で広瀬すずの幼なじみを好演した吉沢亮。相手役として「3年A組-今から皆さんは、人質です-」で存在感を示した今田美桜。

このエピソードは、堺雅人がゴリゴリの形相で悪を潰しにかかる前作の要素は持ちながらも、この美形な男女2名を中心に描く、ほのかなラブストーリー的な風味も加えた復讐劇。

本家の『半沢直樹』に比べると、おじさん臭さが無く、以下のツッコミ要素は多々ありながらも舞台がスタイリッシュなIT業界で、これは新たな若い視聴者を引きつけようとする作戦なのかも、とも思ってしまう。

4月からの続編の前に観ておいたほうがよいかと言うと、それは何とも言えない。

最近は、ネット限定でチェーンストーリーを配信しているドラマもあるが、それを観ずとも本編だけでも成立しているので、まあ、どちらでもよいのではないだろうか。

とは言え、堺雅人・及川光博の大御所コンビもちらっと登場するし、悪い奴らをやっつける爽快さはこの回だけでも十分味わえて、そこはTBS日曜劇場の血をしっかりと引いている。

P.S.

ドラマ(フィクション)なので、まあいいじゃないか、とも言えますが、

・高度なセキュリティを要求される金融期間の中枢部の室内に外注さんをあんなに簡単に出入りさせていいの?
・USBメモリを「アナログなもの」と呼んでいるけれど、USBメモリはデジタルデバイスです(アナログ=古いという意味に拡大解釈?)
・結局ああいう結果だったとは言え、圭が席を外したときに瞳が彼のPCを勝手に覗くのは許されない行為じゃない?
・半沢直樹部長のパスワード、大金を動かせる権限を持っている大事なアカウントならID/パスワードだけでなく、もっと厳しい認証(二要素認証など)にすべき
・しかも半沢部長が出張で不在とは言え、そのID/パスワードを総務部長が知っているって…甘すぎる
・優秀なシステム屋さんなら300億もの金が自動的に引き出されるような異常な動きがあったら強制的に処理を止めるような仕組みを組んでおくべき?
・ITの業務を委託された立場としては、勝手な判断でIT技術を使った「倍返し」みたいな報復をする姿勢が正義として描かれるのは褒められたものではないかな?

というIT視点のツッコミポイントはいろいろあれど、純粋にドラマのシナリオとしての詰めの甘い点は、

・なぜ瞳がインサイダー取引の濡れ衣を着せられたときに、私じゃありませんと言わずにすんなり家に帰ったのな?

でした。

今から観るには『半沢直樹 スピンオフ企画 狙われた半沢直樹のパスワード』