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相棒 season18 #09 【2週連続スペシャル:檻の中~告発】

大学教授の横領事件と、保釈金強盗。
二つの事件をたどるうち、海外のテロに端を発する新たなテロ計画が発生!

研究費横領で逮捕されていた大学教授・皆藤武雄(中村育二)の容疑は、准教授・高瀬佳奈恵(中村優子)が偽装した冤罪だったと判明。強奪された保釈金3000万円も戻ってきた。皆藤は無事保釈され、事件は解決したかに見えたが、特命係・冠城亘(反町隆史)は、皆藤の保釈を気にかけていた旧友・桝本修一(山崎樹範)には、まだ何か思うところがあるのではと心配する。だが、桝本は何も語らない。一方、特命係・杉下右京(水谷豊)も、佳奈恵の動機がいまだ不明なことに疑念を持ち、捜査を続ける。やがて、一連の事件と、一年前サルウィン共和国で発生した、ドローン爆弾によるテロとの関わりが見えてくる――

以上が、前回より続く、二週連続スペシャル後編前半までのあらすじになる。
とにかく、様々なことを考えさせられる回だった。

海外のテロで犠牲になった人々とその家族。
研究の軍事転用を告発するべく、強硬手段に出る科学者。
民生品用の研究を軍事転用し、国防に役立てようとする企業家。

登場人物たちそれぞれに、大なり小なり信念があり、今回一番の悪役側と目される人物まで含めても、その言葉には、いくらかの正論が混じっていた。

戦争もテロも、あってはならないことだけれど、どれだけ考えても、それに代わる手段が見つからないとき、どうするのか。

ラストシーンで、大きなものを止めるには血を流す覚悟がいると語る皆藤に、右京は全ての戦争が血を流す覚悟から始まると諭す。

右京の言葉は、いつも正しい。
だが、正しさだけで世の中は回らないのも事実だ。

相棒は、いつもながら答えの出ない、けれど考えなければならない問題を投げかけてくる。そんなやりとりを交わした二人のもとへ、介護用見守りロボットとして開発途中のアポロがやってくるのも印象的だった。

介護にも、軍事にも利用可能な科学技術が、おもちゃのような可愛い一台に詰まっている。研究員たち皆から、子どものように可愛がられるアポロが、武器や兵器として利用されることなく、愛される存在であり続けられる未来が来ることを願いたい。

さて、真面目に頭を悩ませた後は、気を抜いて楽しみたくなるが、次回予告によると、来週は右京さんが、まさかの『お父さん』になる意外な姿を見せて楽しませてくれそう。
もちろん、相棒のことだから、楽しいだけで終わらせてはくれないだろうけれど、生活感のない右京さんだけに、どうなってしまうのか楽しみだ。

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#09