都知事の息子の誘拐事件が発生。
事件は無事解決するも、まさかのあの人が意外な顔を見せ――!?
犯罪コンサルタント・誉獅子雄(ディーン・フジオカ)のもとに、捜査一課係長・江藤礼二(佐々木蔵之介)が、誘拐事件を持ち込んでくる。普段なら、面白みのない事件には目もくれない誉だが、今回は珍しく、報酬を確認の上すんなりと承諾する。誉の助手・若宮潤一(岩田剛典)は、いぶかしく思い問いだすが、誉は意味深な言葉を返すのみで――
というのが、今回の導入。
江藤が、若宮の部屋へやってきて、勝手に住みついてしまった誉に事件解決を依頼するという、いつも通りのパターンだ。だが、ここに至って、このいつもの場面が、全体のストーリーを通してみると、案外重要だったんだなあと気づかされた。
三人の軽妙なやりとりを楽しみながら、流し見てしまいがちな場面だが、初期は誉と若宮が距離感を縮めていく様子が、そして相棒に近い存在になってからは、今度は別れに向かう予感が、この場面に一番よく現れている。
この第10話では、その導入シーンのモノローグで、若宮は誉と過ごした日々を過去のこととして振り返る日のことを、想像している。それほどに、漠然とした別れの予感が、若宮の中で大きくなっているのだ。比較的明るい、軽妙なやりとりの直後に語られるだけに、この若宮のなんとも表現しようのない切なさのようなものが、いっそう胸に迫ってくる。
シャーロックは、もちろん事件を解決するミステリードラマだ。
だが、事件と同等、もしくはそれ以上に、誉と若宮の関係性が見どころになってもいる。次回の最終回を待つ気持ちとしては、ある意味、恋愛ドラマの最終回を待つそれに近いかも。
最終回へ向かう上での、見どころとしては、もう一点、ラストシーンでのある人物の不穏すぎる行動があげられる。誰が、どんな行動をしたのかは、伏せるが、まさかのあの人が、本性を出してくる衝撃の場面だ。
10話現在、誉の最大の敵となるはずの守谷はいまだ名前しか出てきていない。
それだけに、「まさかのあの人」が、守谷その人かも……という疑いが出てきた。
仮に、別人であったとしても、少なくとも後ろ暗い何かがある様子。
現段階では想像をたくましくするしかないけれど、最終回では、間違いなくその「まさかのあの人」が、物語の焦点になってくるはず。
最終回で、毎回『いつも通りに』繰り広げられてきた、冒頭のあの三人の姿が、どう変貌してしまうのか。最後に起こる事件以上に、気になって仕方がない。
今から観るには:「シャーロック」
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