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ドクターX ~外科医・大門未知子~ #07【2019/11/28放送回】

東帝大学病院で、植毛!? 
拍子抜けするような話から、事態はどんどん深刻に――

副院長・ニコラス丹下(市村正親)の知人、銀行家セブン・ゴールドバーグ(アラン・ロワ)が、最先端の植毛を依頼しにやってくる。融資してもらいたい下心のある丹下は、失敗できない手術だと、フリーランスの外科医・大門未知子(米倉涼子)にオペを任せようとする。だが、オペができると喜んだにも関わらず、植毛と聞いてがっかりした未知子が、失礼な発言をしたせいで、セブンは立腹。オペの話はなかったことになりかけるが、そのとき、セブンの体調に異常が発生。検査の結果胃がんと判明し、緊急入院することに。だが、セブンは未知子のオペを拒否。かわって、外科部長・加地秀樹(勝村政信)が担当することになるのだが――

今回も、見どころはたくさん。

日本文化が大好きな、セブンの妻、ナタリー(アナンダ・ジェイコブズ)と、未知子の交流は、見ていてほっこりさせてくれるし、今シーズンで平外科医にされてしまった海老名敬(遠藤憲一)が驚きのアルバイトをしていたり、丹下とその腹心・鮫島有(武田真治)がノリノリでダンスに興じたりと、面白ポイントはあちこちにある。

その上で、未知子はもちろん今回も失敗せず、気持ちよく決めてくれるし、最後の最後には、東帝大学病院の勢力争いの構造が一変するような大事件も起こるから、次回が嫌でも気になってしまう。

……と、いいところは本当にいっぱいあって、見ごたえ十分だったのだけれど、シリーズのファンには、少々納得がいきにくい部分もあった。

未知子にかわって、セブンの執刀医となった加地と、第一助手の外科医・原守(鈴木浩介)の扱いだ。今回、ふたりはささいなプライドから、大失態を犯し、患者を危機的状況に追い込んでしまう。

だが、加地は金には汚いながらも、腕は未知子も認める存在で、根は善人。原も、腕こそ、未知子はもとより、加地にも及ばないながら、患者によりそい真摯に医療と向かいあう医者だ。

そのふたりが、自身のプライドを守るために、患者を危険にさらす流れには、(そういうキャラクターだったっけ……?)と、首を傾げてしまう。

わずかな救いは、危機的状況の中、さっそうと現れた未知子に対し、即座に加地が自ら第一助手の名乗りを上げ、協力したこと。そして事後、加地と原がそろって、心から反省する様子が描かれたことだろう。
(大抵の医師は、未知子に押しのけられ、ただぽかんとするだけで終わることが多く、また、事後も悪態をつきまくるのが、よくあるパターン)

それにしても、長期レギュラーで、個性も固まった人気キャラクターの彼らを、今の段階で、このようなポンコツに描く必要があったのかは疑問だ。せめて、今回の汚名を返上できるような場面が、残りの放送の中で、わずかなりとも描かれることを期待したい。

今から観るには:「ドクターX ~外科医・大門未知子~」

基本情報:テレ朝ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」#07(2019年秋、第6シリーズ)