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ドクターX ~外科医・大門未知子~ #04【2019/11/07放送回】

通常の治療ではアスリート生命に関わるガン、そして認知症。
外科医、大門未知子(米倉涼子)の診断は――!?

東帝大学病院に、世界記録をだした陸上選手・四日市清昭(岡田健史)が、足の痛みのために入院してくる。次世代インテリジェンス手術担当外科部長・潮一摩(ユースケ・サンタマリア)のAIを使った診断により、四日市は足のガン、滑膜肉腫ステージⅢと判明。人工関節を用いた治療を提案するが、その方法ではアスリート生命を絶たれることから、四日市は承諾しない。

そうした中、未知子は潮の母・四糸乃(倍賞美津子)と病院内で偶然出会う。その場で会話を交わした未知子だが、四糸乃は直後に未知子のことを忘れていた。検査の結果、AIにより四糸乃はアルツハイマー型認知症と診断され――

というのが、冒頭部分のあらすじになる。

なかなか、難しいところだなあ……というのが、まず出てきた感想だ。
今回、未知子はAIに頼りっきりの潮に、自分の頭で考えるよう言い放ち、潮は未知子に反感を覚えながらも自身で考え、AIには導き出せなかった正しい答へとたどりつく。

その部分だけ切り取れば、やっぱり最後に頼れるのは機械より人間、ということになる。
だが、忘れてはいけないのは、潮はあの切れ者の副院長・ニコラス丹下(市村正親)が連れてきた医者ということ。手術は下手、という描写がされているが、総合的に見て医師としての能力は、それなりに優秀な域にあるはず。その潮だから、自分の頭で考えることで、正しい答にたどりつけた。標準的な医師すべてに、このパターンが通用するとは思えない。

未知子のような天才や、そこまでいかずとも優秀な部類に入る医師であればともかく、標準的な医師であれば、AI任せの診断の方が、全体的な誤診数は減りそうだ。便利な道具でも信用しすぎず、上手に利用すればいいと言えばそれまでだが、口で言うのは簡単にしても、実際はそう簡単にはいかないはず。本当に、難しいところだ。

そうした現実での難しさがあるからこそ、未知子がもたらしてくれる爽快感が半端ない。ドラマだから成立することという正論は頭の隅にとどめるとして、今週も視聴後のスッキリ感は十分以上だった。なにより、自分の頭だけで考えて、ピンチを切り抜けられる人間って、単純にカッコいいし憧れる。

潮は今回、未知子にさんざん助けられながらも、いまだ反感を隠さないが、毎シーズンのレギュラー外科医・加地秀樹(勝村政信)や海老名敬(遠藤憲一)あたりは、初登場時と違って、今では文句を言いながらも、どこかまぶしそうに未知子を見ることもしばしば。すでに、彼らは視聴者に近い視線で未知子を見ているから、ひと言ひと言に共感が持てる。

潮を含めた丹下陣営の医師たちも、今シーズン中に、未知子への見方を変えていくかもしれないと思うと、ちょっと楽しみだ。見ていて早くこっち側(視聴者視点サイド)においでよー、という気持ちになってしまう。

その意味では、まだ向こう側にいて、共感しきれない部分の多い潮だけれど、今回は故郷の群馬弁をしゃべる姿や、母親の前でのちょっとダメな感じなどが描かれていて、以前より確実に好感度がアップした。毎シーズン感じることだが、Doctor-Xというドラマは、いけすかないタイプのキャラクターを、ただ、いけすかない人で終わらせない。
魅力もちゃんと引き出すあたり、本当に上手いと思う。

次回は、看護師のドンが登場して、病院内をかきまわしていく様子。そちらはもちろん楽しみだが、あわせて、今後の潮の変化にも注目していきたい。

今から観るには:「ドクターX ~外科医・大門未知子~」

基本情報:テレ朝ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」#04(2019年秋、第6シリーズ)