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相棒 season18 #04 【声なき声】

ジャーナリストのあり方、過重労働問題、外国人技能実習制度の実態、学校の隠ぺい体質……相棒第4話は、様々な社会問題を絡めた回だった。

厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班、通称”かとく”。
違法な事業所を捜査摘発する、警察的な役割を担う部署だ。

その”かとく”の職員・片桐晃一(山本圭祐)が転落死した。遺体のそばに靴が無かったことから、事件性があると警察は判断。警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、その場にいあわせたジャーナリスト・中川敬一郎(長谷川朝晴)が、顔の見えない状態で搬送される遺体を片桐ではないかと尋ねてきたことに疑問を感じ、捜査を始める――

というのが、今回のあらすじ。
中川は社会問題に鋭く切り込むことで、真実を追う男と評判を取る人物だし、死亡した片桐の職業が違法な事業所の摘発だから、捜査していく中で、自然と社会問題に触れていくことになる。

ドラマの話そのものは、あくまで創作された物語だけれど、実際にある問題ばかりだから、考えさせられてしまう。もちろん、ドラマを見てわかったような気になってはいけないけれど、ニュースを見ているだけだと、流し見てしまう事柄が、ドラマだからこそ心に残る場合もある。

真面目に考えるべき社会問題があっても、普通に暮らしていれば、毎日を生きるだけで一生懸命で、自分の生活に直結しない問題を考えるだけのゆとりは、なかなか持てない。エンターテイメントの要素はきっちり押さえた上で、しんどくなりすぎない程度に、心の片隅に世の中の疑問を残してくれるのは、一視聴者として本当にありがたく思う。

楽しみながら、ちょこっと視野も広がる。
相棒というドラマの良さを再認識した回だった。

ただ、今回は残念に感じたところも。
事件解決の過程で、西嶋隆哉(佐々木一平)という人物がキーパーソンとなるのだが、クライマックスで彼の名が出てきたとき、しっかり視聴していたにも関わらず、「それ、誰……?」と首を傾げてしまった。

録画しながら見ていたから、早戻しで確認して誰だかはわかったものの、少し不親切だったように思う。意外な人物が事件に関わっていたという展開はスリリングだけれど、全く記憶に残らない登場というのは、さすがに微妙じゃないだろうか(私の記憶力が悪いだけかもですが……)。

どの場面で登場したか、その際の映像をワンカット入れてくれるような記憶補助の手当てもなかったから、録画していなかったら、結局、何がなんだかわからないまま、見終わっていたかもしれない。

さて、次回は亘の元恋人が容疑者となる模様。歴代相棒の中で、一番恋愛関係にこなれていそうな亘だが、そちらの方面は、これまであまり描かれていなかった。
事件はもとより、亘のどんな過去が明かされるのかも楽しみだ。

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#04