ジャーナリストのあり方、過重労働問題、外国人技能実習制度の実態、学校の隠ぺい体質……相棒第4話は、様々な社会問題を絡めた回だった。
厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班、通称”かとく”。
違法な事業所を捜査摘発する、警察的な役割を担う部署だ。
その”かとく”の職員・片桐晃一(山本圭祐)が転落死した。遺体のそばに靴が無かったことから、事件性があると警察は判断。警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、その場にいあわせたジャーナリスト・中川敬一郎(長谷川朝晴)が、顔の見えない状態で搬送される遺体を片桐ではないかと尋ねてきたことに疑問を感じ、捜査を始める――
というのが、今回のあらすじ。
中川は社会問題に鋭く切り込むことで、真実を追う男と評判を取る人物だし、死亡した片桐の職業が違法な事業所の摘発だから、捜査していく中で、自然と社会問題に触れていくことになる。
ドラマの話そのものは、あくまで創作された物語だけれど、実際にある問題ばかりだから、考えさせられてしまう。もちろん、ドラマを見てわかったような気になってはいけないけれど、ニュースを見ているだけだと、流し見てしまう事柄が、ドラマだからこそ心に残る場合もある。
真面目に考えるべき社会問題があっても、普通に暮らしていれば、毎日を生きるだけで一生懸命で、自分の生活に直結しない問題を考えるだけのゆとりは、なかなか持てない。エンターテイメントの要素はきっちり押さえた上で、しんどくなりすぎない程度に、心の片隅に世の中の疑問を残してくれるのは、一視聴者として本当にありがたく思う。
楽しみながら、ちょこっと視野も広がる。
相棒というドラマの良さを再認識した回だった。
ただ、今回は残念に感じたところも。
事件解決の過程で、西嶋隆哉(佐々木一平)という人物がキーパーソンとなるのだが、クライマックスで彼の名が出てきたとき、しっかり視聴していたにも関わらず、「それ、誰……?」と首を傾げてしまった。
録画しながら見ていたから、早戻しで確認して誰だかはわかったものの、少し不親切だったように思う。意外な人物が事件に関わっていたという展開はスリリングだけれど、全く記憶に残らない登場というのは、さすがに微妙じゃないだろうか(私の記憶力が悪いだけかもですが……)。
どの場面で登場したか、その際の映像をワンカット入れてくれるような記憶補助の手当てもなかったから、録画していなかったら、結局、何がなんだかわからないまま、見終わっていたかもしれない。
さて、次回は亘の元恋人が容疑者となる模様。歴代相棒の中で、一番恋愛関係にこなれていそうな亘だが、そちらの方面は、これまであまり描かれていなかった。
事件はもとより、亘のどんな過去が明かされるのかも楽しみだ。
今から観るには:「相棒 season18」
- 最新話:テレ朝キャッチアップ(無料、次回のオンエア時刻まで)
- 第1話〜最新話: テレ朝動画
基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#04
- タイトル: 相棒 season18
- チャンネル: テレビ朝日系列
- 番組公式サイト: トップ ストーリー キャスト
- 番組公式ツイート: @AibouNow
- 放送日時(#04): 2019年10月30日(水)21:00〜21:54
- 出演:
- 杉下右京(警視庁特命係・警部):水谷豊
- 冠城亘(警視庁特命係・巡査):反町隆史
- 月本幸子(小料理屋「花の里」・元女将):鈴木杏樹
- 伊丹憲一(警視庁刑事部捜査第一課 刑事・巡査部長):川原和久
- 芹沢慶二(警視庁刑事部捜査第一課 刑事・巡査部長):山中崇史
- 角田六郎(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課 課長・警視):山西惇
- 青木年男(警視庁サイバーセキュリティ対策本部 特別捜査官・巡査部長):浅利陽介
- 益子桑栄(警視庁刑事部鑑識課・巡査部長):田中隆三
- 大河内春樹(警視庁警務部 首席監察官・警視正):神保悟志
- 中園照生(警視庁刑事部参事官・警視正):小野了
- 内村完爾(警視庁刑事部長・警視長):片桐竜次
- 日下部彌彦(法務省法務事務次官):榎木孝明
- 衣笠藤治(警視庁副総監・警視監):杉本哲太
- 社美彌子(警視庁総務部広報課 課長・警視正):仲間由紀恵
- 甲斐峯秋(警察庁長官官房付・警視監):石坂浩二
- 神戸尊(警察庁長官官房付・警視):及川光博
- 小野田公顕(元警察庁 官房室長・警視監):岸部一徳
- 甲斐享(右京の三代目相棒):成宮寛貴
- 亀山薫(右京の初代相棒):寺脇康文
- 陣川公平(警視庁刑事部捜査第二課 刑事・警部補):原田龍二
- 米沢守(警視庁警察学校教官・巡査部長):六角精児
- 大木長十郎(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課・巡査部長):志水正義
- 小松真琴(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課・巡査部長):久保田龍吉
- 三浦信輔(元刑事部捜査第一課 刑事):大谷亮介
- 片山雛子(元内閣官房副長官):木村佳乃
- 瀬戸内米蔵(元法務大臣):津川雅彦
- 風間楓子(「週刊フォトス」の記者):芦名星
- 鑓鞍兵衛(国家公安委員長):柄本明