キムタク主演のこのドラマ、第2話では「原価率」という言葉が何度か出てくる。

目黒の倉庫を改装してオープンしようとしているフレンチレストラン「グランメゾン東京」に必要な元手は5000万円。

第1話で、破天荒な元・二つ星シェフ尾花夏樹(木村拓哉)の片腕になることを決心した京野陸太郎(沢村一樹)が資金集めに奔走するが、尾花のパリでの悪評から、なかなか出資してくれる銀行がない。

今回のテーマ料理である「ナスのプレッセ」が、最後の最後に、融資元の首を縦に振らせる役割を演じるのだが、そもそも金融機関は、料理の美味しさで金を貸すかどうかを決めるわけではない。

そこでポイントになったのが「原価率」と言う用語だ。
パリで出会った尾花と組むことを決めたシェフ、早見倫子(鈴木京香)が、お客様の単価は2万5000円として、原価率35%で、客席の8割が埋まれば黒字だ、と、信用金庫の汐瀬(春風亭昇太)に事業計画を説明するくだりがある。

まず、最初の5000万円という数値だが、なぜそんなに元手がいるのか。

レストランの場所となる不動産の保証金という敷金にあたるものが相当額かかり、内装工事や椅子・テーブル、キッチンの設備、電気系統の工事など、店をひとまずの形にするための初期投資が必要だ。
なおかつ運転資金として、家賃、酒類や食材の仕入れ、電気・ガス・水道、そして人件費などのお金が毎月出ていく。

そのなかで経費より高い売上を出して、ちょっとずつ借金を返済するのだが、最初から大繁盛というわけにもいかないので、最初の数ヶ月は元手を喰い潰すバッファーを設けておく。

そのバッファーも込みで5000万円ということだ。

そして、ちょっと小耳に挟んだ単価2万5000円。
これはお客さんひとりあたり平均のお会計が2万5000円だと言うこと。

1万円のコース+ワインでサービス料を載せても、なかなかここまで届かないので、コースの価格がもっと高いはず。
これは、お祝いや接待、もしくはお金持ちのデートに使われるような、かなりの高級店である。

そして、原価率35%とは、1万円の料理を出すのに食材費などの原価が3500円だと言うこと。
ずいぶん儲けてるじゃないか、と思うかも知れないが、コンビニで買うビールと飲み屋で飲むビールの価格差を考えてみれば、食材が生き物であることからしても納得がいく。

ただ、信用金庫の汐瀬は、お客が8割埋まるという想定は楽観的すぎると読んで、この原価率をさらに下げることを要求する。

フランスの名店で頂点に上り詰める直前までいった尾花は、食材の価格を下げるなんてとんでもないと、頑として受けつけない。

最後に行き着いた結論が「ナス」なのだが、詳しくは観てのお楽しみである。

そして、渾身の傑作「ナスのプレッセ」が汐瀬の前に出る。
これまで「味に融資はできない」と主張してきた汐瀬の反応と、そのあとの倫子の決断が見せ場だった。

だが、一筋縄ではいかないのが、このドラマ。
何か裏がありそうな匂いを醸し出しながら第2話は結末を迎えた。

ひとまず次回・第3話から、お店がオープンすることになりそうだ。

P.S.

ちなみに、このドラマに出てくる美しい料理の監修に参画している三ツ星シェフ、岸田周三さんのお店「カンテサンス」のメニューは、24,000円のおまかせコースのみとなっています。
サービス料10%、そして最初の乾杯のシャンパンや食事中のワイン代も加わりますので、「グランメゾン東京」よりも単価が高いですね。予約が取れない店なので、客席の稼働も10割に近いでしょう。
なおかつ、おまかせコースのみにしている理由として、食材を余らせず、その日に全部使いきる、との説明があります。通常お店の原価率には捨てられる食材も加味しますから、この戦略をとることで、他店より高い食材を使っても利益が出ることになります。ここまで成功したお店ならではのやり方ですね。

今から観るには「グランメゾン東京」

基本情報:TBS日曜劇場「グランメゾン東京」#02

  • タイトル:グランメゾン東京
  • チャンネル:TBS系列
  • 番組公式サイト トップ あらすじ 人物相関図 スタッフ
  • 番組公式ツイート: Twitter@gurame_tbs
  • 放送日時(#02):2019年10月27日(日)21:00〜22:09
  • 出演
    • 尾花 夏樹(おばな・なつき):木村拓哉
    • 早見 倫子(はやみ・りんこ):鈴木京香
    • 芹田 公一(せりた・こういち):寛一郎
    • 京野 陸太郎(きょうの・りくたろう):沢村一樹
    • 丹後 学(たんご・まなぶ):尾上菊之助
    • 江藤 不三男(えとう・ふみお):手塚とおる
    • 相沢 瓶人(あいざわ・かめひと):及川光博
    • 久住 栞奈(くずみ・かんな):中村アン
    • リンダ・真知子・リシャール:冨永愛