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同期のサクラ #03 【本気で叱ってくれるのが本当の友だち】

第3話にして、早くも神回。
涙腺は崩壊しないかもしれないが、心の奥にある、何か別のものが崩壊する。

これまで、

 高畑充希が演じるサクラのエキセントリックなキャラが鼻につくなぁ。
 「夢」とか「一生、信じ合える仲間」とか、きれい事ばかりでダサい。

と感じて、引いてしまう視聴者もいただろう。

ただ、このドラマの制作陣は、それを承知したうえでやっている。

「夢とか語る前に現実を見ろ」「大人になれ」とか周囲に言われ続けて「大人」になった視聴者のみなさま。
「ダサいのは、サクラではなくて、あなたじゃないの?」という強烈な一撃を喰らわせてくれるのが、この第3話。

2009年入社の同期五人組を1年刻みに描いていくので、入社3年目の今回は、2011年の震災を避けては通れない。
舞台は東京なので、首都圏に住んでいた人の体験に近い描写がされているが、震災のショックの傷が癒えない人にとっては、思い出すだけでつらいと思われるシーンも少しある。

そんな背景のなか、今回クローズアップされるのは、第1話でサクラに「あんたのこと仲間とか思ってないから」と罵声を浴びせた同期入社の月村百合(橋本愛)。
第2話の結末の次回予告で、百合がサクラ(高畑充希)に、会社の屋上で暴言を吐くシーンがチラッと映ったが、それだけはなかった。
予告編には出てこなかった、サクラがこれまで一度も見せて来なかった、驚きの反応がこの第3話の最大の名場面である。

広報部に配属され、サクラと違って「大人」になった百合の心の奥底にしまっている、本人もそれと気づいていない闇を、サクラがえぐり出す。

そして、友だちと衝突してしまったサクラに、おじいちゃんが送ってきたFAXがズシリと心に響く。

この屋上のシーンと同じくらい本気でバトることができる友だちが、本当の友だち。
しかし、社会に出て「大人」になって周囲全員とうまくやってきた自分に、実は「友だち」が一人もいないことに気づく。

P.S.

百合の父親とは言え、この曲を出すのは世代的に無理感があるが、ドラマのタイトルの元になった軍歌「同期の桜」がちょっとだけ登場。

今から観るには:『同期のサクラ』

基本情報:日テレドラマ『同期のサクラ』#03