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相棒 season18 #02【アレスの進撃~最終決戦】

連続殺人事件の舞台となった、北海道からほど近い天礼島。
警察が連続殺人の容疑者である、自衛隊の元特殊部隊員・岩田(船越英一郎)を追っている隙に、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、事件解明にむけ、現場の“信頼と友好の館”を捜索。

その場で発見した雑誌には、右京たちとも因縁深い、元議員・片山雛子(木村佳乃)が防衛技術振興協会の顧問に就任した記事が掲載されていた。
同じ頃、雛子は洞爺湖近辺で、世界への武器輸出を促進する見本市を開催しようとしており――

といったところから始まる、相棒初回スペシャル後編。
野心家の元議員・片山雛子が、キーパーソンとして登場したことで、事件は一気にスケールアップ。
単なる連続殺人から、武器輸出、さらには世界平和といった問題をはらんだ内容になってゆく。

だが、それでいて同時に、この物語の根幹は「家族の問題」だというところが、秀逸だった。
どれだけ事件が大きくなっていっても、軸にあるのは岩田と、岩田の娘で“信頼と友好の館”のメンバーであるミナ(北香那)の、親子の葛藤だ。

海外でボランティアに参加し、難民問題に心を痛めるミナは、自衛隊員である岩田を殺戮兵器と呼んで、忌み嫌っている。だが、そのミナも幼い頃は、岩田をヒーローのように慕っていた。

一方、岩田の中には、幼い頃のミナの姿が焼き付いており、今も変わらぬ愛情を抱いている。だが、同時にミナに対して、愛情以外の、ある思いが強くなっていくのも感じていた。

この親子が、右京たちとどう関わり、どういう結末を迎えたか――
そちらは、ぜひドラマで確認していただきたい。

ただ、ひとつだけ先に、言っておくならば。
「相棒」というシリーズを、これまで視聴してこられた方なら、大方想像がつくだろうが、この初回スペシャル後編は、いかにも相棒らしく――後味の悪い終わり方をしている。

平和主義の功罪とは。
武器輸出の是非は。
そして岩田親子の歪な関係と、彼らの選択の是非は。

「相棒」というドラマは、問いを投げかけるだけで、ジャッジを下さない。
その先を考えるのは、あくまで視聴者ひとりひとりだ。

この後味の悪さが、不思議と心地いいのも「相棒」ならでは。
その余韻にひたりつつ、ラストシーンの右京さんと冠城くんに声かけして、初回スペシャル後編のレビューを締めたい。

半年待ってました……「おかえりなさい!」
(ラストシーン、と指定している理由は、ドラマ本編で確認いただければわかります。テレビの前でひとり応援上映状態になった相棒ファン、私だけではないのでは?w)

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#02