連続殺人事件の舞台となった、北海道からほど近い天礼島。
警察が連続殺人の容疑者である、自衛隊の元特殊部隊員・岩田(船越英一郎)を追っている隙に、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、事件解明にむけ、現場の“信頼と友好の館”を捜索。

その場で発見した雑誌には、右京たちとも因縁深い、元議員・片山雛子(木村佳乃)が防衛技術振興協会の顧問に就任した記事が掲載されていた。
同じ頃、雛子は洞爺湖近辺で、世界への武器輸出を促進する見本市を開催しようとしており――

といったところから始まる、相棒初回スペシャル後編。
野心家の元議員・片山雛子が、キーパーソンとして登場したことで、事件は一気にスケールアップ。
単なる連続殺人から、武器輸出、さらには世界平和といった問題をはらんだ内容になってゆく。

だが、それでいて同時に、この物語の根幹は「家族の問題」だというところが、秀逸だった。
どれだけ事件が大きくなっていっても、軸にあるのは岩田と、岩田の娘で“信頼と友好の館”のメンバーであるミナ(北香那)の、親子の葛藤だ。

海外でボランティアに参加し、難民問題に心を痛めるミナは、自衛隊員である岩田を殺戮兵器と呼んで、忌み嫌っている。だが、そのミナも幼い頃は、岩田をヒーローのように慕っていた。

一方、岩田の中には、幼い頃のミナの姿が焼き付いており、今も変わらぬ愛情を抱いている。だが、同時にミナに対して、愛情以外の、ある思いが強くなっていくのも感じていた。

この親子が、右京たちとどう関わり、どういう結末を迎えたか――
そちらは、ぜひドラマで確認していただきたい。

ただ、ひとつだけ先に、言っておくならば。
「相棒」というシリーズを、これまで視聴してこられた方なら、大方想像がつくだろうが、この初回スペシャル後編は、いかにも相棒らしく――後味の悪い終わり方をしている。

平和主義の功罪とは。
武器輸出の是非は。
そして岩田親子の歪な関係と、彼らの選択の是非は。

「相棒」というドラマは、問いを投げかけるだけで、ジャッジを下さない。
その先を考えるのは、あくまで視聴者ひとりひとりだ。

この後味の悪さが、不思議と心地いいのも「相棒」ならでは。
その余韻にひたりつつ、ラストシーンの右京さんと冠城くんに声かけして、初回スペシャル後編のレビューを締めたい。

半年待ってました……「おかえりなさい!」
(ラストシーン、と指定している理由は、ドラマ本編で確認いただければわかります。テレビの前でひとり応援上映状態になった相棒ファン、私だけではないのでは?w)

今から観るには:「相棒 season18」

基本情報:テレ朝ドラマ「相棒 season18」#02

  • タイトル: 相棒 season18
  • チャンネル: テレビ朝日系列
  • 番組公式サイト: トップ ストーリー キャスト
  • 番組公式ツイート: Twitter@AibouNow
  • 放送日時(#02): 2019年10月16日(水)21:00〜22:24
  • 出演:
    • 杉下右京(警視庁特命係・警部):水谷豊
    • 冠城亘(警視庁特命係・巡査):反町隆史
    • 月本幸子(小料理屋「花の里」・元女将):鈴木杏樹
    • 伊丹憲一(警視庁刑事部捜査第一課 刑事・巡査部長):川原和久
    • 芹沢慶二(警視庁刑事部捜査第一課 刑事・巡査部長):山中崇史
    • 角田六郎(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課 課長・警視):山西惇
    • 青木年男(警視庁サイバーセキュリティ対策本部 特別捜査官・巡査部長):浅利陽介
    • 益子桑栄(警視庁刑事部鑑識課・巡査部長):田中隆三
    • 大河内春樹(警視庁警務部 首席監察官・警視正):神保悟志
    • 中園照生(警視庁刑事部参事官・警視正):小野了
    • 内村完爾(警視庁刑事部長・警視長):片桐竜次
    • 日下部彌彦(法務省法務事務次官):榎木孝明
    • 衣笠藤治(警視庁副総監・警視監):杉本哲太
    • 社美彌子(警視庁総務部広報課 課長・警視正):仲間由紀恵
    • 甲斐峯秋(警察庁長官官房付・警視監):石坂浩二
    • 神戸尊(警察庁長官官房付・警視):及川光博
    • 小野田公顕(元警察庁 官房室長・警視監):岸部一徳
    • 甲斐享(右京の三代目相棒):成宮寛貴
    • 亀山薫(右京の初代相棒):寺脇康文
    • 陣川公平(警視庁刑事部捜査第二課 刑事・警部補):原田龍二
    • 米沢守(警視庁警察学校教官・巡査部長):六角精児
    • 大木長十郎(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課・巡査部長):志水正義
    • 小松真琴(警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課・巡査部長):久保田龍吉
    • 三浦信輔(元刑事部捜査第一課 刑事):大谷亮介
    • 片山雛子(元内閣官房副長官):木村佳乃
    • 瀬戸内米蔵(元法務大臣):津川雅彦
    • 風間楓子(「週刊フォトス」の記者):芦名星
    • 鑓鞍兵衛(国家公安委員長):柄本明