Drama View – テレビドラマのレビューサイト

まだ結婚できない男 #01【阿部寛演じる偏屈独身男、１３年ぶり復活！】

山田勲@ebisuux

こんな面倒くさい男が結婚できるわけない。阿部寛の演じる主人公の偏屈ぶりがすばらしい。
前作「結婚できない男」をわざわざ観る必要もなく、初めて観てもふつうに笑える恋愛コメディだ。

そして13年前の前作を観た方々にも、自室で指揮棒を振りながら大音響のクラシック音楽に酔いしれる、あの性癖はキープされたままで楽しい。

しかし、13年も経つと、世の中も変わってきている。

以前は「まあ、いいじゃないの」と笑い飛ばせたネタも、今は使えない。
ネット民の厳しい目に晒されているので、それに配慮、いや忖度してテレビドラマを制作しなくてはいけない。

なんだ「結婚できない」とは失礼な。
既婚者が、結婚していない人を蔑むような言い方じゃないか。
それに「まだ」とは何ごとだ。
結婚しないと一人前じゃない、とでも言いたいのか。
今は多様化の時代なんだ、結婚しない人のことも認めろ。

そんな声が聞こえてきそうな心配をよそに、ドラマが始まってみると、阿部寛が演じる桑野信介（53歳）は「こんな人と一緒に暮らすのは無理」「これじゃ結婚できるわけないだろ」オーラが滲み出ていて、最初からかなり楽しめる。

そして、単に独りでいる人をあざ笑うだけの作品ではなかった。

結婚してもうまくいかなかった男女の離婚裁判のシーンもあり、必ずしも結婚することばかりが最終的な答えではないことを描く。
そして、阿部寛のお相手役（恋仲になるかどうかは不明）である吉田羊が演じる吉山まどかは、自ら事務所を構える弁護士。仕事をバリバリこなしているうちに独身のまま40代に突入してしまった存在。自分は結婚の経験がないのに、皮肉にも他人の離婚のお手伝いをしているのだ。

象徴的なのは、主人公の信介は一級建築士で、人が誰かと一緒に住んでいるかどうかに拘わらず、一生を共にする「家」を造る人であること。最後に独りになっても幸せなことって何なの、という問いかけもしてくれる、第１話にして深いメッセージを持った作品にも仕上がっている。

P.S.
あの、ペットショップで阿部寛を見つめていたパグ犬の再出演はあるんだろうか。

今から観るには：「まだ結婚できない男」

基本情報：関西テレビ「まだ結婚できない男」#01