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日テレドラマ「あなたの番です」#20 (反撃編・第10話)

2クールにわたって、放送された「あな番」もついに最終回。

この最終回になって、ようやく、主人公・手塚翔太(田中圭)の最愛の妻・手塚菜奈(原田知世)を殺害した真犯人が判明した。その人物は、翔太のバディ・二階堂忍(横浜流星)のAIが、真犯人であると予測していた、あの人だ。

その人物は、笑顔で死んだ人びとの殺害を画策、実行はしたが、交換殺人ゲームそのものを発案したわけではない。住民会での交換殺人ゲームは、誰が意図したわけでもなく、本当に偶然の産物だったのだ。

だが、ゲームの結果、殺したい人として、自身の名が書かれた紙をひいたことで、ショックを受けた管理人・床島比呂志(竹中直人)が自殺。そこから後は、住民たちの様々な思いや行動が連鎖し、ドミノ倒しのように次々と殺人が起こってゆく。相次ぐ殺人に、菜奈殺害犯は殺人衝動をかきたてられ、ゲームを隠れ蓑に、自らも殺人を犯していくことになった――というのが事の真相だ。

ドミノといえば、1章と2章反撃編の間に放送された、特別編で、翔太が菜奈へプロポーズした際、ミステリー小説で作ったドミノが思い出される(並べた文庫本が全部倒れると、「けっこんしよ」の文字が浮かび上がる、いかにも翔太らしいベタ甘なドミノだ・笑)。

つまり、翔太は殺人が描かれた推理小説のドミノで最愛の菜奈を得、殺人のドミノで菜奈を失ったことになる。

そして推理小説のドミノと違って、殺人のドミノは、最終回をもってしても、終わっていない。
ラストシーンで、菜奈殺害犯の血縁だったと判明した、ある人物が,謎の転落死を遂げ、翔太と、二階堂のもとへ、『あなたの番です』のメッセージが送られてきたからだ。

この、ホラー映画にありがちなパターンの、「実は、まだ終わっていませんでした」というエンディングには、正直、賛否両論あるだろうと思う。
けれど、個人的には、これでいいのではという気がしている。

個々の殺人はともかく、俯瞰してみれば、殺意・悪意の連鎖こそが、元凶であったとするならば、事件が続くのは当然だろう。菜奈殺害犯はじめ、殺人に手をそめた人々は、警察に逮捕されたが、それで連鎖が止まるわけではない。
生存する関係者がいる限り、必ずどこかに波及していく可能性は残るのだから。

そして「あな番」が終わらない物語になったお陰で、もうひとつ、終わらないものができた。「あな番」という物語への推理や考察だ。
最終回を終えても尚、当分の間、楽しく頭を悩ませることができそうだ。

だが、いまは、考察よりなにより、全力で叫ばせていただきたい。

本っ当に、面白かったーーーーーーー!!!!!!

今から観るには:『あなたの番です』

基本情報:日テレドラマ『あなたの番です』#20 (反撃編・第10話)