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読売テレビ「わたし旦那をシェアしてた」第9話〜小池栄子

ついに天谷恭平(平山浩行)殺害の、直接の原因となった人物が判明!

松田秀明(赤楚衛二)が、恭平殺害現場で見たという、赤いワンピースの女は、藤宮茜(岡本玲)だった。
シェアハウスの管理人で恭平の母でもある染谷文江(夏木マリ)は、森下晴美(小池栄子)と小椋加奈子(りょう)に、今回の課題として、茜を許せるかどうかという問題をつきつける。その上で、文江は、茜の子どもたちを拉致し、本音を話すよう迫るが――

というのが、第9話のおおまかな流れ。
前回までに、過去の神谷町連続殺人事件に端を発した事柄が一段落し、物語は、恭平の死そのもの、そして三人のシングルマザーの誰を恭平が一番愛していたか、恭平が残した三億円は誰のものになるのかという、根本に立ち返ってきた。

その中で、二児の母である茜と、恭平の母である文江、ふたりの母の思いがぶつかり、真っ向から対立しあっていくのだが、夏木マリと岡本玲の、狂気すら感じる演技は必見。ファイティングミステリーのキャッチコピーがついた本作にふさわしい、苛烈なシングルマザー同士の戦いだった。

冷静に考えれば、茜も文江も犯罪行為になるレベルでの戦いを展開しているから、擁護はできない。自分の子のためなら、何をしてもいいのか……という疑問が頭をよぎるし、もちろん、いいわけはない。

だがそれでも、決して褒められた行為ではないけれど、この戦い、苛烈であると同時に、切ない。狂乱すればするほど、我が子への思いの強さが、にじみ出てくる様子には、心動かされる。

ただ、ドラマとしては、素直に感動するけれど、少し複雑な気持ちにもなった。感動してしまうのは、世間的なイメージとして、理想の母親像に「己を捨てても我が子最優先に生きる」姿が刷り込まれているせいも、あるんじゃないだろうか。そうした母親像は尊い。けれど、誰しもが漠然と持つ、その自己犠牲的なイメージが、世間のお母さんたちを生きづらくさせては、いないだろうか……そんなことを考えさせられた。

次回はいよいよ最終回。
茜と文江、共に我が子を思う母の戦いが、どうなるのか。そして恭平が最も愛していたのは、三人のシングルマザーの誰だったのか。
母親たちの戦いを、最後まで見届けたい。

今から観るには:「わたし旦那をシェアしてた」

基本情報:読売テレビ「わたし旦那をシェアしてた」第9話