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TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」第6話〜大泉洋

主人公である大泉洋のセリフ「そもそも私はラグビー自体、好きではないんでね」が、グサリと刺さった第6話。

今回の最大の見どころである、協会理事との対決シーンで吐かれた一言だ。

本社から左遷されて、会社のお荷物だったラグビーチームのGMを務めることになった君嶋(大泉洋)は、そもそも企業経営のプロフェッショナルである。
企業のラグビー部が槍玉に挙げられるのは、赤字を垂れ流していることが諸悪の根源であることに着目した君嶋は、日本蹴球協会に、ビジネス視点での改革案をぶつけるのだ。

ラグビーはアマチュアスポーツであって金儲けではないと主張する協会に「あなたたちが変わるまで、何度でもぶつかります」と啖呵を切る。君嶋は、倒されても向かっていく、ラグビーそのものの化身となっている。

このドラマ、学生時代にラグビーをやっていた人にとっては観るたびに号泣ものの作品かも知れない。しかし、そんな一部での盛り上がりに終わらず、これまでラグビーに馴染みのなかった視聴者にも響くメッセージを持っている。
それは、本人としても、このドラマの中の役柄としても、門外漢である大泉洋が、ラガーマンのようにがむしゃらに前に進もうとする姿勢に心を打つものがあるからだ。

そして、要所にはプロの俳優を据えながらも、登場人物に元日本代表などのラグビー経験者を多く起用している。いまだかつて医療ドラマに本物の医師が、刑事ドラマに本物の刑事が何人も参加しているようなケースはなかった。ワールドカップ目前なのにまだまだ盛り上がっていない、という逆風に向かっていこうという、キャスト・スタッフ一丸となったチームワーク、まさにラグビーの勇ましさを感じる作品である。

第1話、2話のレビューでは、あまりにも同一パターンの多いこのTBS日曜枠に「寅さんやサザエさんだと思って観ればよい」とも書いたが、いつもと違うところは、この本気度である。

いっぽう、いつも池井戸作品に登場する主人公の天敵、滝川常務(上川隆也)が推進する買収話に、何やら暗雲が立ち込め始める。最後は懲らしめられて終わるとわかっていても、この結末も気になるところだ。

P.S.

君嶋に、本社に戻ってくるよう手をさしのべた脇坂(石川禅)だが、もう一年GMをやりたいと君嶋が申し出たら「断った以上、俺から声をかけることはもうない」とは…「わかった、がんばれよ」とは言えないものだろうかね。

今から観るには「ノーサイド・ゲーム」

基本情報:TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」第6話