Drama View – テレビドラマのレビューサイト

TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」第3話〜大泉洋

ラグビーワールドカップを目前に、日本代表が格上のフィジー代表に勝利した直後に迎えた第3話。

なんかこう、出来過ぎな話だった。
いやいや現実はこんなにうまく行くはずないだろう、と思いながらも、エンディングシーンでは、ちょっとウルっと来てしまう。

主人公の君嶋隼人(きみしま はやと、=大泉洋)は、トキワ自動車ラグビーチーム「アストロズ」のGMだが、そもそも希望してこの立場にいるわけではない。本社の経営戦略部から左遷された結果、ここに来たのだった。

そして、チームは以下のような問題を抱えている。

なにしろ弱い。
それに人気がない。そもそもラグビーそのものが日本では人気がない。
結果的に会社のお荷物。

一つ目の課題は、優秀な監督、柴門琢磨(さいもん たくま、=大谷亮平)が加わったことで、戦略的な練習が取り入れられ、上向きな流れができてきた。

二つ目と三つ目の問題は、柴門が君嶋に「俺は優勝争いをする、お前は黒字にする」と言ったが、まさに経営戦略のプロである君嶋の腕の見せどころだ。

そもそも現実の日本でも、この9月からワールドカップだというのに、サッカーほど盛り上がっていないのは事実。
ドラマのなかでも「アストロズ」のファンクラブに入るくらいなら「FC東京」のファンクラブのほうを選ぶ、というくだりがあるが、今の日本のサッカーとラグビーでは大きな差があるだろう。

ただ、その昔、日本のサッカーも似たような状況だった。

この第3話のなかで、選手たちがボランティア活動をして地元のファンを増やそうとする活動が描かれているが、このドラマ自身も、男臭くてとっつきにくいラグビーという競技の魅力を伝えるのに一翼を担っている。

君嶋が推進する地元密着作戦は功を奏したように見えたが、ファンクラブの人数は伸び悩む。
そして、弱小チームが優勝争いに加わるというミッションを掲げながら、ボランティア活動にも時間を割くことに抵抗を感じるメンバーが、活動のボイコットを始める。

チーム分裂の危機だ。

いつもの居酒屋「多むら」にみんなを集めて、それに対する答えを君嶋が述べるシーンがあるのだが、大泉洋の演技の切れ味がすばらしい。文字面で見たら綺麗ごとを並べたような長いセリフだが、力まず、泣きを入れすぎない、しかし情熱のこもった、これしかないと言う名演技だった。

そして「出来過ぎ」な第3話の結末には、米津玄師の歌声が流れていた。

P.S.

相撲トレーニングのシーンに、栃ノ心ほかリアル力士が出ていて圧巻。

今から観るには「ノーサイド・ゲーム」

基本情報:TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」第3話