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読売テレビ「わたし旦那をシェアしてた」第4話〜小池栄子

看板を掛け違えている、それがこのドラマの惜しいところなのかも……と見終えて思った。

ファイティングミステリー、とはオフィシャルでこのドラマを表現するのに使われている言葉だ。三人のシングルマザーが、事実婚の夫が残した三億円を争奪するというのが、このドラマの一番大きな流れだから、そこだけ見れば、ファイティングという言葉は妥当だ。

だが、主人公たち三人のシングルマザー、戦うより回を重ねるごとに仲良くなっている。
敵同士の三人が、なぜこうも仲良くなれるか理解に苦しむ部分はあるが、第4話ともなると、見ているこちらも仲良しな彼女たちの姿に慣れてきてしまって、三人一緒に飲んでいる姿など、もう普通に微笑ましい。
微笑ましい時点で、ファイティングが行方不明だ。
母として、社会人として、生きているだけで日々が戦い……ともいえるかもしれないが、このドラマのアオリで想定されるファイティングはそこではないだろう。

ミステリー要素は確かに見どころのひとつだから、後半部分は間違ってない。
では他の見どころは? といえば、シングルマザーたちが、シェアハウスの管理人から出される課題に取り組んでいくうち、それぞれ小さな気づきを重ねながら、成長していく過程になっている気がする。
ならばここは、ハートフルミステリーとでも表現するほうが的確じゃないだろうか。
(この枠自体が、『木曜ドラマF』という枠名で、各ドラマの内容をFからはじまるキーワードで表すというルールがあるため、この表現は不可能ではあるのだけど)

仮に、ハートフルミステリーとして見れば、第4話は、母親の味、家庭の味を通して、故・天谷恭平(平山浩行)の家族観が分かる、ホームドラマ的にいい話だった。振り返ってみれば、ホームドラマの要素は、これまでの各話にも、親子の場面があったりと、何かしらいい話が盛り込まれていた。

だが、ファイティングという言葉の先入観で、ついつい熾烈なバトルを期待してしまうから、せっかくのいい話を、素直に味わいにくくなってしまっている。これはちょっと、もったいない。

看板の掛け違えといえば、もうひとつ、次回予告だ。

前回予告で恭平殺害実行犯のリーダー・森雄作(黒木啓司)が、シェアハウスにやってくるところが映っていたが、なんとその場面、今回のほぼほぼラストシーン。
まって、これじゃ前回の予告のあの箇所、実質次回予告じゃなくて、次々回予告だったんじゃ!? と、一番期待していた部分だけに、軽く脱力して半笑いを浮かべてしまった。

ただ期待していた場面の本番こそ来週になってしまったが、森の登場シーンは、どこもいい味を出していた。
軽く脅しをかける姿ひとつとっても、目がイっていて、じわじわ来る怖さがある。

この彼が、次回こそ本当にシェアハウスに乗り込んでくる。
しかも予告には、第2章開幕の文字!
乗り込んだ森が本性をあらわにして、「お前らも、ぶっ殺してやる!!」と恫喝する場面もあった。

とすれば、ここからが本番、第2章こそは、シングルマザーたちが共闘して殺人犯と戦う、看板に偽りなしのファイティングな展開になってくれそう!? ハートフル要素も悪くはないけれど、ここはやはり熱いファイティングに期待したい。

今から観るには:「わたし旦那をシェアしてた」

基本情報:読売テレビ「わたし旦那をシェアしてた」第4話