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日テレドラマ「偽装不倫」第1話

独身なのに既婚を装ってしまったせいで「偽りの不倫関係」を結んでしまうという、ちょっと笑える不倫ドラマ。
叶わない禁断の恋の悲しさを描くようなドロドロした不倫ドラマとは違う。何しろ「偽装不倫」だからだ。

主人公の32歳独身女性・鐘子(しょうこ)を演じるのは杏。と聞いて、東出昌大くんとラブラブ生活を謳歌しているはずの彼女に非モテおひとりさま女子を演じてほしくないよ、と言う声も出てきそうだ。ただ、彼女の演技を見るとそんな気分は吹き飛んでしまう。

あらゆる婚活に疲れ切った独身女子を、気持ちいいほど見事に演じ切っているのだ。

そんな、よい出会いに全く恵まれなかった鐘子が、博多への一人旅の飛行機の中で隣の席に座ったフォトグラファー伴野丈(宮沢氷魚)に、自分は既婚者であると言ってしまう。

なぜそう言ってしまうのか、なぜ途中からでも前言撤回して自分は独身です、と言えないのか。

それについては、この第1話のなかでの状況描写・心理描写がすばらしい。
とある偶然と、見栄と思い込みのおかげで、一度ついた嘘を否定できずに、後戻りできなくなってしまう彼女の様子を笑いながら観ることができる。

いっぽう、相手役の伴野丈が、なぜそんなにも簡単に、彼女に家庭があるのを知った上で不倫関係になることを持ちかけるのか。それについても、彼が海外にずっと住んでいて、日本人固有の道徳概念があまりないという人物設定をすることで、ありがちなドロドロした罪悪感たっぷりのシーンを通り過ぎずに、関係が進展する過程が自然に描かれている。

そのあたりは、「東京タラレバ娘」の原作も出がけた漫画家、東村アキコさんのオリジナルのすばらしさがなせる技でもあるだろう。

そして、いくら努力しても出会いがなかった鐘子に投げ与えられたその博多の恋は、2泊で終わるはずだった。
ところが鐘子は、大きな忘れ物を置いてきてしまう。

引き続き第2話以降も、この関係は偽装のまま続くようだ。

P.S.

博多華丸・大吉さんがいつ出てくるのかドキドキしたけれど、そういうベタな小ネタがなくても十分笑えるのが、いいとこかも。

今から観るには:「偽装不倫」

基本情報:日テレドラマ「偽装不倫」第1話