タイトルから想像される、定時派と残業派の対抗軸ドラマかと思いきや、最後まで、どんな働き方の人も否定しないで終わった。
定時どころか、納品間近の追い込みのために全員で休日出勤して徹夜、というシーンまである第10話。
第1話で、ニコニコして定時で帰ってハッピーアワーのビールを飲んでいた結衣(吉高由里子)がなつかしいくらいだ。
彼女が運用マニュアルをワードで打つシーンが妙にリアルな迫力を持っていて、ウェブ業界にいた人なら身につまされるだろう。
さて、前回・第9話は、ショッキングなシーンで終わった。
福永部長(ユースケ・サンタマリア)が取ってきたブラック案件で、定時を貫いてきた結衣も長時間労働に巻き込まれていた矢先に、彼女のプライベートでもまさかの「事件」が起きたのだった。
そんなボロボロな状況で、結衣がチーフを務めるプロジェクトは納品前の修羅場を迎える。
この無理な仕事を取ってきた、諸悪の根源・福永部長(ユースケ・サンタマリア)は、とんでもないダメ上司として描かれてきた。
このまま人間のクズのような存在で終わるかと思いきや、この最終回で、彼の、彼なりの立場というものに光が当たる。
それが、中盤のヤマ場である、歩道橋の上での絶叫シーン。
改めてユースケ・サンタマリアの迫真の演技に圧倒される。
同情や共感のできる物言いではない。相変わらずイヤなヤツのままだ。
ただ、彼の口から、ちょっと納得できる言葉が出る。
ーみんな仕事大変だ、って言うけど、仕事なくなったらどうすんの?
経営者をやって、会社を潰して、従業員を路頭に迷わせた経験のある彼だからこそ、出てくる言葉だった。
最もツラいのは、仕事が大変なことよりも、仕事がないことだ。
さて、この難儀なプロジェクトは、何とか終わりを告げる。
チームメンバーを集めての打ち上げで、なぜか結衣だけがビールを飲めない。
あんなにビール好きだったのに。
なぜか?
それは見てのお楽しみである。
・・・
朝、目が覚めるたびに仕事に行きたくない病にかかり、ベッドから出ない人。
そして、たまの休日に目が覚めると「よかった、今日は休みだ」と幸せを感じる人。
効率よく仕事をこなすことができず、ダラダラ残業するクセが直らない人。
逆に仕事が出来すぎて、無理難題を方々から押しつけられて、抱え込んでしまって残業する人。
いつも怒られていて、言い返せない人。
辞めたい、辞めたいと言いながら、お金のために辞められない人。
そんなすべての人を、深い愛で包み込んでくれるドラマだった。
P.S.
働き方改革は、従業員に無理をさせないことで始まった。
ただ、取引先に無理をさせないこともお忘れなく。とくに外注さんをこき使う大企業の人。
あなたは定時で帰れるが、業務委託先は徹夜をしているかも知れない。
今から観るには:「わたし、定時で帰ります」
- 最新話:民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」(無料、次回のオンエア時刻まで)
- 全話:Paravi(パラビ) (月額1,017円、無料体験あり)
基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」最終回・第10話
- チャンネル: TBS系
- 放送日時: 2019年6月25日(火)22:00〜23:12
- 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
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- 番組公式ツイート: @watashi_teiji