めずらしく、ゆったりとした平和な休日のブランチのシーンが見られる。

喧嘩や誤解など重い出来事があって、最後に二人で美味しいものを食べて仲直りする、というこのドラマの王道パターンは同じ。ただ今回は、その振れ幅が大きく、グサリと来るものがあった。

この第10話、ネットメディアのレビュー記事は、シロさん(西島秀俊)の浮気を心配して、ケンジ(内野聖陽)の嫉妬が爆発する内野聖陽の名演技を取り上げている。

それについては、改めてここで言うまでもない。ぜひドラマで体験していただければさいわいである。
もしよかったら、TBSの医療ドラマ『ブラックペアン』と見比べると、この俳優の底力に身震いすると思う。

このケンジ大爆発のシーンの伏線となるのが、勤め先である美容室の店長、ヒロさん(=三宅祐、マキタスポーツ)の女性客との浮気であった。

前回の第9話で、浮気が娘にバレたことを店長に告白されたケンジの心中はただ事ではなかったのに、その店長の妻で元エステティシャンのレイコ(奥貫薫)が、美容室の一部を改装してエステルームにすると言う話が持ち上がる。

それって、単純に職場復帰したいだけではなくて、夫を監視したいためじゃないの?

その予感が的中。

どうやら浮気相手が誰なのか、すでに見抜いていると思われる場面があり、次回以降、何かあるかも知れない伏線となっていて、うすら恐ろしい。

店長さん、覚悟が必要だ。

休日ブランチ

その美容室改装のため、ふだん休みのはずのケンジが打ち合わせで火曜日に職場に出ることになり、もともと約束していたゲイ仲間である小日向さん(山本耕史)との飲み会に行けなくなる。悪気のないシロさんが、じゃあ二人で飲むよ、と言ったところから、美容室の一件で気持ちが揺れていたケンジの大爆発が始まるのだ。

言っていることに何の説得力もない。
ただ、そんな嫉妬のかたまりのようなめんどくさいヤツでも、シロさんは受け入れるのだ。

弁護士のシロさんは土日休み、美容師のケンジは火曜日休みなので、同居はしていても食事するシーンは、ほぼ朝か夜だった。
ふだんは夜、仕事から帰ってきて、少し遅れて帰宅するケンジに合わせてシロさんが料理をするで、やはりちょっと慌ただしい。

ただ、その美容室の改装が土日に行われることになって、めずらしく週末にケンジが家にいる。

今回は、調理のシーンもゆったりしていて、西島秀俊の語りも軽やかだ。

プライベートのすれ違いの多さがカップルの別離の原因となった、という話もよく聞くが、このようにふだん休日が重なることがない彼らも、うまくやっているではないか。そんな彼らが昼間からゆったり食事ができたこの貴重な日は、神様がくれたご褒美のように映る。

そして、ふと口から出るのが「温泉でも行きたいね」というセリフだった。

今回、ケンジが縁を切っている父親の正体が明らかになった。
その父親も、女をつくって家を出て、たまに帰ってきたと思えば暴力をふるい、金をせびるような典型的なダメ男であった。
たとえ血が繋がっていても、許せない人とは続けられない、というケンジの言葉が、裏を返せばゲイカップルという世間的にはまだ認められていない関係でも「続けられる」ということを暗に語っていた。

まだまだ続く?

多くの民放ドラマが最終回を迎えるなか、このドラマは、まだまだ続く予感。
次回の第11話も、最終回との記載はなかった。そして、満を持してジルベールが見られるかも。

たまに休んでもいいから、金曜夜の安らぎのひとときを与えてくれる、この楽しみをこれからも与え続けてほしい。

P.S.

クレープの基本具材
・バター30グラム、小麦粉100グラム、砂糖20グラム、卵2個、牛乳(低脂肪乳)250cc

乗せもの
・ツナマヨ(たまねぎ、ツナ、マヨネーズ、しょうゆ、胡椒)
・トマト、きゅうり、レタス、バナナ
・ハムエッグ(ハム2枚、卵2個)
・チョコレートソース(チョコレート50グラム、牛乳40cc)
・生クリーム
・砂糖、レモン、バター
・ヨーグルト、はちみつ
・チーズ

飲みもの
・キリン一番搾り

作り方は、ドラマでどうぞ。

今から観るには:「きのう何食べた?」

  • 全話:Paravi(月額1,017円、無料体験あり)

基本情報:ドラマ24「きのう何食べた?」第10話