「これもう、交換殺人じゃないよね」
主人公・手塚菜奈（原田知世）と手塚翔太（田中圭）は、考えを改める。
マンションの住民会で行われた交換殺人ゲームに端を発し、ゲームの結果通りに連続殺人事件が起こっている――。これまでそう思い込んでいた菜奈と翔太だったが、交換殺人ゲームで菜奈が引き当てた甲野貴文（鈴木勝大）は、ふたりの目前で、別の誰かに殺害されてしまった。
交換殺人ゲームのルールに従うなら、甲野は菜奈が殺すべき相手だ。その甲野が菜奈以外の人間に殺害された時点で、
殺したい人として紙に書いた人物を誰かに殺してもらったら、次は殺してもらった人が自分のひいた紙に書かれた人を殺す
というルールは、破綻してしまっている。これはやってくれたなあ……という印象。「あな番」を推理ゲーム的に楽しむ際、推理の基準のひとつになっていたのが、この交換殺人ゲームのルールだ。その根本が、揺らぎはじめている。
もちろん、甲野の事件だけがイレギュラーなのかもしれないし、交換殺人ゲームの結果通りの事件も実際起きているから、ルールが生きている部分もあるはず。
だが、ここに至ってゲームのルールだけを根拠にしての推理が、危うくなってきたのは確かだ。
これが本格推理小説であれば、途中でルールを変えるなんて卑怯といわれるかもしれないが、ルール変更があっても、面白さが全く減じないのが、「あな番」の凄いところ。
むしろ、時間に余裕があればもう一度最初から見直して、甲野殺害以外でも、ルールに則ってない殺人が、どこかで行われていなかったか、検証したくなってきてしまう。
そして物語は、ミステリー好きのハートをがっちりつかんだまま、ジェットコースター的展開で進んでいく。
これまで一緒に、交換殺人ゲームの考察をすすめていく仲間だった榎本早苗（木村多江）に、疑惑の目を向け始めた菜奈と翔太は、彼女がいつも自室のドアを開く際、チェーンをかけたままであることに気づいた。
そこから、室内に何か見られたくないものがあるのではと推理した翔太は、事件を解明することで菜奈を守れるならと、なりふり構わず榎本夫妻の部屋に押し入っていく。
そこで翔太が発見したのは、巧妙に作られた隠し部屋。さらに室内には、黒島が監禁されていた！！ 黒島を助けようとする翔太に、鬼の形相で迫る早苗。早苗といえば、いつも優しい微笑みを浮かべたお姉さんといったイメージだっただけに、この急変は怖い。しかも室内にはもうひとり、手錠と鎖でつながれた少年までいて――！？
こんなところで次回へ続かれた日には、たまらない。
謎の少年も、一体何者なんだかさっぱりで、頭の中が、まったく整理できないが、カオスに押し流されるような感覚は、このドラマならではの心地よさだ。
そのカオスに次回予告が拍車をかけていく。予告には、早苗が菜奈をはがいじめにして絶叫している様子や、「殺されるのは誰だ！？」のアオリと共に、ぐったりする翔太の姿が！！
次回は第1章の最終回という区切りの回だけに、このドラマなら何をやらかしてもおかしくはない、ないけれど――翔太死亡は流石にないと思いたい。
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