予想どおり、寝技師・福永部長(ユースケ・サンタマリア)が手を廻した結果、赤字必至・残業休日出勤必至の大規模案件を会社が受注してしまったことを受けた第8話。

これまで主人公の東山結衣(吉高由里子)は、そのひたむきさで、慢性残業派だったメンバーを「こちら側」に導き入れてきたが、この最後に残った怪物・福永部長とどう向き合うのか?ドラマは終盤戦を迎え、さらなる盛り上がりを見せてきた。

しあわせな仕事生活を阻むもの

働き方改革と言うと、無理な長時間労働を会社が従業員に強いないようにしましょう、という側面で理解される。

しかし、このドラマで取り上げられているネットヒーローズのようなWeb制作会社、もしくはシステム開発会社、広告代理店などは、業務を委託する側の取引先(クライアント)から発注を受けてサービスを提供する。クライアントが悪質で、無理難題を押し付けられたり、「聞いてなかった」仕事を後から追加されたりすると、受注した側の従業員が疲弊するという結果に陥る。

ほんとうは会社の経営陣が従業員を守るために、そのような取引先とは契約しないとか、交渉するとか、そうなればいいのだが、今回は福永部長が上に働きかけて社内審査の壁を突破してしまった。

おまけにクライアント側の担当者・牛松(金井勇太)が、全く仕事ができず、プロジェクトの進行が滞るばかりか、上から言われた無理難題を押しつけるばかり。

中小企業を守る下請法という法律はあるにはあるものの、実態としては、このようなブラック企業ならぬ「ブラック・クライアント」を取り締まる仕組みはない。まして発注側の担当者の仕切りの悪さまで規制する法体系などあるはずもなく、今でもよくある話なのである。

しかし、このような案件にも涼しい顔をして、何とかベストな回避方法を模索する種田(向井理)は、さすが百戦錬磨を乗り越えてきた、この道のプロである。

ところが今回、決定的にダメージを受けてしまったのが、第2話の前半まではバリバリの残業派だった賤ヶ岳八重(内田有紀)だった。

彼女も種田と同じように、このような難儀な案件を跳ね返すだけの力量はあったはず。ところが、プライベートな問題が彼女を追い詰めてしまう。
双子の子が生まれたばかりで育児にも時間を割かなくてはいけない立場に加えて、夫の実家にも問題が発生するのだ。

会社には迷惑をかけられない。みんながんばっているんだから。
そして、統括している福永部長は「なんとかしてよ」一点張りの人。

多くの人が、これを自分ひとりで呑み込んで押し潰されてしまう場面だが、最後に賤ヶ岳の取った勇気ある言動が、この第8話のクライマックスだった。

婚約・同棲中のふたりの行方は?

いっぽう、婚約して家賃20万のマンションに住み始めた、結衣と婚約者の諏訪巧(中丸雄一)。

まだ決定的ではないが、物語の流れとしては、このふたりが壊れそうな気もしてきた。

まず、巧のお母さん(清水よし子)がヤバすぎる。
結婚はふたりでするものだから、親は関係ないでしょ、と言えるのか?
そんな簡単に割り切れるものでもないだろう。

そして、第6話の結末からちらつく、元婚約者・種田の存在。

確かに巧くんも理想の夫になりそうな、いいヤツなのだが、結衣とは考えのズレがあることも露呈してきた。

このあと大どんでん返しがあるような予感もあり、これも最終話に向けて注目したいポイントである。

P.S.

3500万円の案件で大赤字と言う話になっているが、それだけ予算があれば相当なことができると思っている制作会社の社長さんが多くいそうな金額でもある。

今から観るには:「わたし、定時で帰ります」

基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」第8話

  • チャンネル: TBS系
  • 放送日時: 2019年6月4日(火)22:00〜22:57
  • 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
  • 番組公式サイト: トップイントロダクションあらすじ相関図
  • 番組公式ツイート: Twitter@watashi_teiji