前回は、定時で帰る女・東山結衣(吉高由里子)の婚約者・諏訪巧(中丸雄一)と、元婚約者の種田晃太郎(向井理)が、まさかの「対決」をするシーンで幕を閉じた。

しかし、新たに2つの「事件」が起こり、それどころではなかったのが、この第7話。

第3話の結末でも、福永部長(ユースケ・サンタマリア)と派遣デザイナー・桜宮さん(清水くるみ)の、ただならぬ関係を匂わせておきながら、それに続く第4話では、その伏線は受けつつも、視聴者の期待をかわして、違った方向への展開を見せた。

そういうところに、このドラマの作り手の独特のセンスを感じる。
今回も第6話の決定的なシーンを受けて始まったが、その伏線は引き継ぎつつも、単なる「続き」にしなかったところが味わい深い。

昭和の遺産、父との対峙

これまでは職場の同僚や取引先が相手だったが、意外にも今回、結衣が向き合うのは、自分の父親だった。

父、東山宗典(小林隆)は、プライベートを犠牲にして仕事に生きる男だった。

そういう昭和の遺産のような仕事人間から、イマドキの新入社員である来栖(泉澤祐希)まで、幅広い人格を登場させて、それぞれの立場を掘り下げているところが、逆にこの物語が「最も今っぽい」と言えるところだ。

家族旅行の途中に一人で帰ってしまうなど、結衣と結衣の母親の気持ちを顧みずに働きづめの人生を送ってきた父は、人生の岐路に立たされる。

妻に愛想を尽かされるのだ。

結衣が間に立って関係の修復を試みるも、埒が明かない。
おまけに家のことはすべて母親にやってもらっていたため、ちょっとした家事もできない。

おまけに、自分と同類の仕事人間である娘の元婚約者・種田がお気に入りらしく、現在の婚約者・匠との関係を快く思っておらず、この状況で結衣に文句を言う始末。

こんな父親では、母親と仲直りできるはずもなく、このまま熟年離婚まっしぐらか?

そして、仕事中でも父から頻繁に送られてくるLINEに結衣は辟易し、これまで定時にきっちり終えてきた自分の仕事にも支障が出始める。

そんな結衣を救ってくれたのが、第1話、2話以降から少し脇に下がっていた職場の仲間たちだった。どんな人でも活躍の場はあるんだ、というこのドラマの愛のあるメッセージをさりげなく感じるくだりであった。

相変わらずヤバい、福永部長

前回「赤字覚悟でやらせていただきます」というワンシーンが気になった福永部長(ユースケ・サンタマリア)が、またやらかしてくれた予感。

その実態が明らかになる。「赤字覚悟」という言葉どおり、昔から縁のある大手企業のWebサイトの大規模リニューアル案件を、ちゃんとした見積もりもしないで超安値で約束してきてしまったのだ。
そんな予算で受けてしまえば会社は赤字になるし、外注さんを使う余裕もないために、従業員は土日返上で勤務しなければならない。

「みんなでがんばればいいじゃん」と簡単に言うのが、福永の姿勢。

仕事が定時にきっちり終わらない要因となる、今でもありがちなケースである。

取引先との昔からの縁故や、なにしろ受注したいという先走りから、営業担当やトップが無理な仕事を引き受けてしまい、現場に「何とかしてよ」と泣きつく。

そして、この福永、タダモノではなさそうだ。
自分の会社が潰れたのに業界ナンバー2のWeb制作会社「ネットヒーローズ」に制作部長として受け入れられたのも、裏で動くこともいとわない寝技師だからのようだ。

ネットヒーローズでは、赤字案件の受注を防止するための「社内審査」制度がある。
いくら福永が過去の縁故で安値を提示したからと言っても、審査でNGとなれば受注はできなくなる。

しかし、そんな制度すらすり抜けてこの案件を通しそうな福永の恐ろしさを感じたところで、この第7話は幕を閉じた。

その無理な案件が受注されてしまって、現場の結衣たちにしわ寄せが来るイヤな予感がするが、残すところ3話の展開が楽しみである。

P.S.

結衣の実家でお父さんの見ているテレビに出ていたのが、オードリーの春日だったのは、なぜ?

今から観るには:「わたし、定時で帰ります」

基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」第7話

  • チャンネル: TBS系
  • 放送日時: 2019年5月28日(火)22:00〜22:57
  • 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
  • 番組公式サイト: トップイントロダクションあらすじ相関図
  • 番組公式ツイート: Twitter@watashi_teiji