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日テレドラマ「あなたの番です」#07

えっ、もう死ぬの!?

と見ている途中で驚いた。

「毎週、死にます」がキャッチコピーのこのドラマ。
コピーの通り、エンディングまわりで必ず誰かが死んでいたのだが、今回の事件は番組の中ほどで起こってしまった。

マンション住民の浮田啓輔(田中要次)が、同居人の妹尾あいり(大友花恋)を、彼女の実父に面会させる騒動の中で、殺害されたのだ。

ならばエンディングはどうなるんだろうと思っていたら、エンディングはエンディングで、主人公・手塚菜奈(原田知世)が交換殺人ゲームで殺したい人として紙に記入してしまった、戸籍上の夫・細川朝男(野間口徹)が、彼の名前を書いた紙をひいてしまった久住譲(袴田吉彦)に追いつめられていく。

1話の中で、二つの事件が起こるのは初めての展開。
物語も7話まできて、前半戦の山場にかかっていることもあり、スピード感が増してきて、ますます目が離せない。

しかも、交換殺人ゲームのスピード感が増しているにも関わらず、7話は、情に訴えかけるいい話でもあった。ひとつ目の、浮田の死は、うるっときてしまう悲しさがある。

前回までに7人の人間が死んでいる本作だが、殺人はもちろん悪いことだけれど、被害者たちを気の毒だとは、正直過去回では、あまり感じなかった。
被害者たちの事情も、ある程度描かれてはいるものの、殺したい人として紙に書かれるのも分かるなと思ってしまうような、どちらかといえば嫌な面が強調されていたからだ。

それがこの浮田に限っては、死を迎える前に、彼の人間らしい善の部分が描かれている。
浮田は、暴力団関係者で、過去には詐欺で逮捕歴もある男だ。だが、幼い頃から面倒を見ている、あいりのことだけは実の娘のように可愛がり、あいりも憎まれ口を叩きながらも、浮田を慕ってきた。
それでも本当の親子ではないと、どこかで双方に引け目のようなものがある。

浮田はあいりを、彼女の実父に会わせてやるが、実父は彼女を拒絶。あいりもまた、亡き母を捨てた実父への憎しみを爆発させ、ナイフで刺し殺そうと襲いかかっていく。
浮田はあいりを人殺しにはできないと、身を挺して実父をかばい、彼女のナイフを受け止め負傷、そこではじめて、引け目も何もかも振り捨て、

「俺でいいよな、俺が父親ってことで」

と、あいりに告げ、犯罪者にはさせられないと、救急車を呼ぼうとする彼女を先に逃がそうとする。あいりも浮田の気持ちを受け入れ、

「病院で会ったら、パパって呼ぶからね」

と応じ、その場を立ち去るのだが、その直後に浮田は殺されてしまうのだ。
これは無い、可哀そうすぎる。

冷静に見れば、浮田は犯罪歴もあり、ロクな人間ではないし、現実世界なら、今までのどの被害者たちより、同情の余地がないはずだ。
たとえ彼の中に真摯に人を思う心があっても、真面目に生きている普通の人間以上に、その死を惜しまれるのは、おかしいかもしれない。

だが、ここは素直にエンターテイメントと割り切って、彼の死を悲しみたい。浮田は本当にいい味を出していたし、残されたあいりと、彼女の婚約者・柿沼遼(中尾暢樹)には、浮田の分まで幸せになってほしいと、心から思わされた。

とはいえ、メロドラマはここで一旦終了。
次回、エンディングで久住に追いつめられた細川は、どうなったのか。まだ生きているのか、もう死んでいるのか。
交換殺人ゲームは、まだまだ続いていく。

今から観るには:『あなたの番です』

基本情報:日テレドラマ『あなたの番です』#07