吉高由里子が検事役を務めたドラマ「正義のセ」よりも、もっと正義の炎がメラメラと燃えたぎる、戦闘モードの吉高由里子に圧倒された第5話。

過去の4話で繰り広げられたのは、タイトルどおり、定時で帰る女・結衣(吉高由里子)が、同じ職場の「帰らない人たち」に対峙する、しかも衝突するだけではなく、それぞれの人たちに愛をもって接するストーリーだった。

このまま「残業するか・しないか」だけを争点にした話を繰り返すのではなく、ここに来て切り口の違うエピソードを扱ったことが、このドラマの今後の展開に興味をつなぐアクセントになった。

今回のテーマは、定時退社ではなく、セクハラ。

社員研修ビデオで「女性の髪型を褒めてもセクハラです」などという注意喚起をされて窮屈に感じている男性にも、ぜひ観てほしい「それとは気づかないうちにしている」セクハラが、実感をこめて取り上げられている。

それは、仕事がらみの飲み会やイベントに女性を誘うことだ。

たとえば取引先やお偉いさんとの食事の席に従業員の女の子を同席させる。彼女が商談の関係者でもないのに、単に女の子がいないとさみしいから、という理由だけで誘っているなら、それは本人の人格を尊重していないことになる。
たとえ本人がうれしそうに飲み食いしていても、支払いは奢りだとしても、もし女性のほうが立場上しかたなしに出席しているなら、それは断れない残業を強いているのと同じ。

第4話の最終シーンでその伏線が張られていたが、今回クローズアップされたのが、結衣と同じチームの派遣デザイナー・桜宮さん(清水くるみ)だ。

彼女は、結衣の会社が仕事を受注した取引先であるランダー社の中西(大澄賢也)ともツーカーだった。派遣という弱い立場にもあるからか、そういう仕事つながりの飲み会に「喜んで」出席していたのである。
ところが、その中西は取引先の優位な立場を利用して、一度承認したはずのデザイン案をやり直しさせたり、プライベートでは桜宮さんを気安く誘い出すなど、やりたい放題。

働き方改革というと、どうしても会社がその会社の従業員に対して断れない残業を強いるのを禁止する規制、というイメージがある。今回は、何かを強いてくる相手が取引先だったり、強いられる対象が派遣社員だったりするケースにまで着目しているところに大きな意味を感じる。

ドラマ終盤で、怒りに燃えた結衣が「敵地」に乗り込む。
さらに、上司であり、元婚約者でもある種田(向井理)が、援護射撃をする。

スカッとする結末であった。

P.S.

相変わらず、自らに責任が及ぶことを恐れて「穏便にすませて」と言うだけの、福永部長。
ユースケ・サンタマリアの演技が絶妙すぎて、ありえないダメ上司に映っているが、こんなに露骨にオモテに出さなくても、中身はこの人と同じような管理職が現実社会にもたくさんいそうだ。

今から観るには:「わたし、定時で帰ります」

基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」第5話

  • チャンネル: TBS系
  • 放送日時: 2019年5月14日(火)22:00〜22:57
  • 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
  • 番組公式サイト: トップイントロダクションあらすじ相関図
  • 番組公式ツイート: Twitter@watashi_teiji