これまでの3話とは次元の違う、ヴォリューム感たっぷりのメインデュッシュが出てきたような第4話。

大手術

身内の命が危ないかも知れない大手術を受けるときに感じる恐怖は、計り知れない。

史朗(=シロさん、西島秀俊)は、その母・久栄(梶芽衣子)と一緒に、10時間にも及ぶ父・悟朗(志賀廣太郎)の手術の経過を待つ間に、母の父に対する愛情がこんなにも深かったことに気づく。
いつもどおり、実家の庭に面した窓際の椅子に座って新聞を読んでいるだけの老いた父も、そこからいなくなってしまうと思うと、いたたまれない。
この第4話の前半は、こんな重い始まり方をするのだが、パートナーの存在が日常化してしまって当たり前のように感じ、むしろイヤなことのほうが目につき始めている人にとって、ガツンと何かを気づかせてくれる。
ただ、この深刻なシーンに気が滅入ってチャンネルを替えてしまっては、もったいない。この第4話では、このあとに、さらに大きな感動が待っていた。

ふたりが出逢った経緯と、クリスマス

今回は、西島秀俊の軽妙な語りによる「番組内・お料理教室」が相当ゴージャスだ。

第1話では、月額の食費を2万5000円に抑えようとする超・倹約家として描かれているが、この晩の料理は、少しお金もかかっていそうだ。

まずは、かなり手の込んだ仕込みを必要とするラザニア。
もう一品、鶏肉の香草パン粉焼き。西島秀俊のセリフでは「こっちはシンプルだ」と言いながら、これもなかなか凝っている。
さらに、バゲットにぬって食べる、サワークリームに明太子を和えたディップ。
しかも、テーブルには赤ワインも。

これは、シロさん(西島秀俊)とケンジ(内野聖陽)の、毎年恒例のクリスマスディナーなのだ。

そして、この料理が、ふたりの関係の始まりに深い意味を持つことがわかる、ホロリと来る一瞬が、この第4話のクライマックスだ。

セクシャル・マイノリティの人たちの存在は認めつつも、何か腫れ物に触るような、自分には近寄りがたい人たちと言う先入観を捨てきれない人たちがまだ多くいるとすれば、そんなことはなくて、男女だろうが、男同士だろうが、人と人との絆はみな同じ、という実感を、スッと与えてくれる作品。

しかも、最終シーンで、ケンジがケーキを取り分けている姿を見つめてボソっと言うシロさんの影の声が心を討つ。そう、自分の好みに100%合うわけではない相手とでも、一緒に住むことで、その人との間にしか結べない絆は生まれるのだ。

そんな実感をスッと与えてくれる大きな要因のひとつが、西島秀俊と内野聖陽の、細かいところにも行き届いた絶妙な演技だ。

とくに、これまで演じてきた役柄と同じような自然派スタイルを踏襲している西島秀俊とは対照的に、外角ギリギリにふわっと決まる変化球を連投してくるような演技で魅せてくれる内野聖陽には脱帽である。まさに、プロフェッショナルだ。

そして次回の第5話ではお正月を迎える。前回も書いたが、オンエアされているのが2019年の春ではあるものの、あくまで原作の漫画の流れに忠実に話を運んでいるようだ。

P.S.

シロさんとケンジが珍しく外食するシーンがあるが、新宿にある、このお店の地下。中央のワインセラーが壮観。グラスワインが豊富で、飲みだけでもOKだし、ちょっとした食事もできる。
MARGO GRANDE

P.S.その2

原作に対する深い愛情を感じる、制作エピソード。
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今から観るには:「きのう何食べた?」

基本情報:ドラマ24「きのう何食べた?」第4話