内田有紀の好演が光る、第2話にして早くも「神回」だった。吉高由里子が演じる「定時の女」だけが主役ではない。彼女を取り巻く職場でのさまざまな人物の立場(前回はシシドカフカだった)を切り取るドラマだが、内田有紀が演じた産休から戻ったばかりの働く女性を描いた今回は、ずしりと手応えのあるメッセージを残した。

賤ヶ岳八重(=しずがたけ・やえ、内田有紀)は、定時で帰るWebディレクター、東山結衣(吉高由里子)の新人時代の教育係。結衣が最も尊敬する大先輩だった。
そんな賤ケ岳は双子を出産したばかりだが、夫が育休を取れたということで、早めに職場復帰する。

前回・第1話のラストシーンで、彼女の「初日から、残業でもなんでもやります」という張り切りぶりが気になったが、夫が子供の面倒を見てくれているとは言え、なぜそんなにも鼻息が荒いのか。そして、本来はスキルレベルが頭一つ抜けた有能なディレクターであったはずの彼女だが、復帰するなり、その前のめりなやり方が空回りをし始める。

なぜそこまで頑張るのか?…ドラマ中盤で彼女が口にするその答えは、とてもせつない。
今回は、この産休明けのデキる女が抱える悩みを、実にガツンと響く形で表現した、秀逸な台本だった。

前回の第1話でわかりかけていたことだが、このドラマは、定時の女が、残業肯定派たちと対立する2軸のドラマではない。
職場にあるそれぞれの立場の人が、それぞれの事情や思いを抱え、定時の女・結衣(吉高由里子)が、その人たちに手をさしのべて何かを気づかせる、愛と寛容に満ちたドラマなのだ。

職場を扱った作品と言えば、テレ朝ドラマ「ハケン占い師アタル」も、派遣社員・的場中(=マトバアタル、杉咲花)が、週替わりで職場にいるそれぞれの立場の人たちを、その鋭い透視力で救うストーリーだった。この「わたし、定時で帰ります」も、もしかしたら1話ごとに、結衣の職場のそれぞれの社員の事情が浮き彫りになり、結衣がそれに絡む、というパターンを繰り広げるのかも知れない。

次回の第3話は、第2話の結末に起こった「事件」をきっかけに、結衣が面倒を見ている、何かと会社を辞めたがる今どきの新入社員・来栖泰斗(泉澤祐希)がクローズアップされる模様。

P.S.

ありえない場所にいきなり現れて無神経な言葉を吐く福永部長の無礼千万ぶりは、さすが、ユースケ・サンタマリア。

今から観るには:「わたし、定時で帰ります」

基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」第2話

  • チャンネル: TBS系
  • 放送日時: 2019年4月23日(火)22:00〜23:07
  • 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
  • 番組公式サイト: トップイントロダクションあらすじ相関図
  • 番組公式ツイート: Twitter@watashi_teiji