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NHK連続テレビ小説『なつぞら』第3週「なつよ、これが青春だ」〜広瀬すず

子供時代の奥原なつを演じた粟野咲莉から、広瀬すずにバトンタッチした第3週。

戦争で両親を亡くし、十勝の酪農家に連れてこられた彼女は高校生になり、血のつながりのない柴田家の人々を、父さん、母さん、じいちゃん、と呼ぶくらい、すっかり家族の一員となっていた。

しかし、生き別れた実の兄や妹とは、まだ音信不通のまま。
その問題を積み残したまま、なつの人生は、この十勝で新たな展開を迎える。

近い将来、日本アニメの創世記を支える一員になる伏線が、第2週の、学校で米国のアニメを見たシーンだった。
いっぽう、じいちゃん、柴田泰樹(草刈正雄)に認められた彼女は、十勝農業高校に進み、柴田の家を継ぐことも期待されている。
そして学校でも人気者だ。

すっかりこの世界に溶け込んで、みんなから一目置かれる存在になっている姿が頼もしい。広瀬すずが、さわやかにそれを演じ切っている。

泰樹の、家に残ってほしいという期待に沿えないまま、彼女はどこかの時点で東京に行ってしまうのか、それはまだわからない。
ただ、この第3週の話は、ちょっと横道にそれる。

なつを北海道のこの地に連れてきた柴田剛男(藤木直人)は、今は農協に勤めている。
農協は、すべての農家から牛乳をメーカーに一括納入する動きを推進しているが、メーカーとの直接取引にこだわる泰樹はそれに賛同しようとしない。
その父と祖父の間の「揉めごと」に、なつも巻き込まれてしまう。

戦友の死で孤児となった、なつを十勝まで連れてきた恩人、柴田剛男(藤木直人)だが、今週ばかりは、なつを使って泰樹を説得しようとする、ちょっとズルい役として描かれている。

困ったなつは、柴田家に引き取られたころ、泰樹に連れていってもらった帯広の和菓子屋「雪月」の息子、雪次郎(山田裕貴)に相談する。

雪次郎の勧めで、彼が所属している演劇部の顧問である倉田先生(柄本佑)を紹介されるが、この先生、わざわざ議論をむずかしくするクセ者だった。

話は、あらぬ方向へと展開し「その問題を解決するためには芝居を通じて祖父にメッセージを伝えるのはどうか」と言う話になる。
そして「そのためにはお前も女優として舞台に立て」という強引な展開になり、なつは演劇部に入部することになる。

この経験が、将来アニメーターになるための栄養素になるかどうかは、まだわからない。

次週は、家の手伝いと演劇活動の両立に奮闘する、なつが観られそうだ。

この週一番の名場面

4月20日(土)に放映された第18話の冒頭で、なつの「母さん」となった富士子(松嶋菜々子)が、なつに、富士子が結婚に至った経緯や、「じいちゃん」泰樹が最愛の妻を亡くしたときの出来事を語るシーン。朝ドラにしては結構長くワンシーンが続くが、松嶋菜々子の一言一言に聞き入ってしまう。

P.S.

木曜日の放送で、小畑とよ(高畑淳子)が、「高校生がタバコなんて吸うんじゃないよ」と、倉田先生のタバコを取り上げる切れ味のいい演技が見もの。

今から観るには:『なつぞら』

基本情報:NHK連続テレビ小説『なつぞら』第1週「なつよ、ここが十勝だ」