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NHK連続テレビ小説『なつぞら』第2週:なつよ、夢の扉を開け – 広瀬すず

広大な北海道を舞台に、スピッツの爽やかな歌声で始まる、朝にぴったりな連ドラの第2週。
そのオープニングテーマとシンクロする映像は、広瀬すずが演じる主人公・奥原なつが、北海道で幼少期を過ごし、のちに昭和のアニメーターとなるメタファーとなっている。

この第2週は、まだ広瀬すずではなく、少女時代の奥原なつを演じる粟野咲莉が「主役」だった。彼女は、この2週間で、大きなインパクトを残した。

前週・第6話の驚きの結末を受けて今週は、なつが、移り住んだ北海道の人々との絆を深め、将来アニメの仕事につくきっかけをつかんでゆく過程が描かれていた。

先週と今週で、なつが大きく変化した点がある。

それは「怒る」ことだった。

戦死した父の戦友であった柴田剛男(藤木直人)に連れられて、東京の孤児院から北海道・十勝に来た前週のなかでは、自ら農場で働くことを申し出たり、学校でも自分が浮浪児で孤児院にいたことを隠さずに告げるなど、どんなことにも動じず、肯定的で、前向きに接する子だった。理不尽な目にあっても、怒ることはない。

ただ、それは戦争で両親を失って、子供三人で東京の焼け野原に残された境遇がそうさせたのである。この北海道の柴田家でも、わがままを一切言わず、ものわかりのいい子でいることが必要なのだ。

そういう意味で、十勝の柴田家の人々とは本当の意味での「家族」にはなっていなかった。

おまけに、東京の孤児院に残してきた兄からの連絡が途絶えてしまったために、兄に会いたい気持ちが高まって、黙って柴田家を飛び出してしまったのだ。

そして今週は、なつが「怒る」シーンが二度ある。

一度目は、4月10日(水)の第9話。
川辺で、柴田家の人々に発見されたときに、自分には家族がいないことに対する、やり場のない怒りを爆発させる場面。

そして二度目は、4月12日(金)の第11話。
同級生の天陽くんの家が保有している荒地の開墾を助けることを拒絶した泰樹に対して、真っ向から反論する場面。

なつが、子供らしさがない、よく出来た強い子、という殻を破って、見知らぬ土地だった北海道・十勝の柴田家と、第二の家族としての深い絆を造り上げた名シーンだった。
そして、なつは、泰樹の長年の夢であったバターづくりを受け継ぐことを決意する。

さらに第11話では、学校で上映された米国のアニメを目を輝かせながら見て、彼女がその後アニメの世界に入っていく伏線も描かれている。

なつは、第二の故郷となった北海道でバターづくりを成功させ、次に状況してアニメの世界でも活躍するのか?
それとも、真の意味で「おじいさん」となった泰樹の夢を叶えることができる前に、苦渋の決断をして東京のアニメ界に身を投じるのか?

それはまだわらかないが、来週から広瀬すずにバトンタッチだ。

この週一番の名場面

第11話で、なつが泰樹に向かって必死に反論するシーンも捨てがたいが、この週最後の4月13日(土)・第12話の中盤、天陽くん(荒井雄斗)の家に柴田家一同が訪れたときに、あれこれ言って煮え切らない天陽くんの父(戸次重幸)に向かって泰樹が放つ叱責の一言。

事情なんかクソ喰らえだ!

P.S.

アニメ黎明期に日本に輸入された「ポパイ」がパワーを発揮する食べ物が「ほうれん草の缶詰」だったことを思い出した。

今から観るには:『なつぞら』

基本情報:NHK連続テレビ小説『なつぞら』第2週「なつよ、夢の扉を開け」