ちょっとした波乱が巻き起こった第2話。今回も美味しそうな料理が出てくるが、史朗=シロさん(西島秀俊)と同居する、賢二=ケンジ(内野聖陽)の、少し嫉妬深い性格が浮かびあがった回だった。

内野聖陽の、おそらくこれまで見せたことがない、オネエ演技は圧巻。

パン

ほのぼのとしたオープニング映像(これを観るだけでも、このドラマの価値がある)の直前に、朝食として史朗が食卓に置いていった食パンを、賢二がじっと見つめる。

実は20年前に史朗がつきあっていた人がいた。
このパンは、その過去につきあっていた人の店で、史朗が買ってくるのだ。
10円、20円単位の節約をしている史朗が、なぜ260円もするパンをそこで買うのか。

もう終わった過去の関係にも、人は嫉妬するもの。
そんな煮えたぎる嫉妬心を噴出させる、内野聖陽の迫真の演技は見もの。

具だくさんのツナマヨそうめん

第1話では、路上で史朗(西島秀俊)がゲイであることを暴露される。
今回も、史朗が「この人、ゲイなのよ」と言われてしまう場面がある。

まだまだ春が寒い2019年4月に放映されたこの第2話の舞台は初夏。

スーパーの前で安売りのスイカをまるごと1つ買うことに躊躇していた史朗と、同じく迷っていた主婦の富永佳代子(田中美佐子)が、半分ずつ分け合うことで合意し、佳代子の家を訪れる。

史朗は、ゲイであることを隠しているのだが、家にイケメンがいることを不審に思った夫と娘を安心させるために佳代子が「この人、ゲイなのよ」と言うのだ。

彼女に悪気はない。

しかし、佳代子がつくったツナマヨそうめんを4人で食べながらの会話で、佳代子たち家族が発する、ゲイに対する偏見に満ちたデリカシーのない発言が、史朗を傷つける。笑みを浮かべつつも不快感を隠せない、西島秀俊の絶妙な演技が見ものだ。

ここ数年でLGBTという言葉がポピュラーになり、セクシュアル・マイノリティの人たちが存在することを尊重する機運が高まったとも言える。

ただ、その反面「この人はゲイ」と言ったとたん、男の人しか好きじゃないとか、男だったら誰でも好きになってしまうとか、ステレオタイプにはめてしまう弊害もある。

このドラマはそういう微妙なところを教えてくれる。

人前で簡単に「この人、ゲイだよ」とバラしてしまったり、「ゲイってことは〇〇なんでしょ」と決めつけたような発言は、無神経きわまりないのだ。

それにしても、具だくさんのツナマヨそうめんは、美味しそうだ。

ジャム

今回のメインディッシュは、史朗のオリジナルではなく、その佳代子がつくったツナマヨそうめんだったが、次に史朗が苺ジャムをつくるシーンがある。

ジャムが腐らないように、まず瓶を熱湯で洗ったり、苺から出るアクを取ったり、目から鱗の映像が続くが、意外に簡単にできることがわかる。

翌朝、そのジャムを、そのいわくつきのパンにつけて、史朗と秀俊が食べている。

ここでの史朗の告白が、今回のダメ押しだ。

世の中のゲイには、そういう人生を歩んでいる人たちもいるんだろうな。これをわかっただけでも、じゅうぶん観る価値のある回であった。

P.S.

同性愛者の人が見るネットの星占いにも「今日は気になる異性からアプローチされるかも」と表示される。

今から観るには:「きのう何食べた?」

基本情報:ドラマ24「きのう何食べた?」第2話