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NHK連続テレビ小説『なつぞら』第1週:なつよ、ここが十勝だ – 広瀬すず

2019年春の朝ドラ第1話は、新しい年号が何になるか発表される直前の4月1日の朝に始まった。

舞台は昭和30年の北海道・十勝で、のちにアニメーターとして活躍する主人公・奥原なつ(広瀬すず)がキャンバスに絵を描いている姿から始まるが、この第1週の「主役」は、その奥原なつが、縁もゆかりもない十勝の農家に引き取られるところから始まる子供時代を演じた粟野咲莉だった。

なつの境遇は、同時にBSで再放送が始まった「おしん」にひけを取らないくらい可哀想なもの。
戦争で父母を亡くし、兄と妹とも別れて、東京からはるばる十勝にある酪農家に引き取られたのだ。

ただ、お涙頂戴になり過ぎず、じわじわと涙が浮かんでくるシーンがありながらも、微笑ましく観ることができた。
それは、子供時代のなつを見事に演じきった粟野咲莉の、類まれなる人間力によるものが大きい。
経験ある俳優陣に囲まれても全く迫力負けしないのだ。

そして、気むずかしいガンコ者ではあるが、実は人情深い十勝の酪農家・柴田泰樹を演じた草刈正雄の好演が光る。

泰樹は、何もない北海道にやってきた開拓者であり、なつも将来、日本のアニメーションの黎明期で活躍することになることから、この「師弟関係」の絆が今後、なつの精神的支柱となっていきそうだ。

そして4月5日(金)には、学校に通い始めたなつが、東京から病気を持ってきたんじゃないか、と差別されれるシーンがある。
そこで、なつをかばう同級生、山田天陽(荒井雄斗)は、絵がうまく、その後なつがアニメの世界に身を投じる導き手となる予感を感じさせる。

ところが、たいてい朝ドラは、その週の最終話である土曜日に「事件」が起きる。
4月6日(土)の最終シーンで、まさかの展開を見せ、次週に続く。

この週一番の名場面

4月4日(木)に放映された第4話の後半で、アイスクリームをふたりで食べながら泰樹がなつに人生を解くシーン。泰樹の一言一言に重みがあり、それを聞くなつの真剣な表情もすばらしく美しい。

P.S.

舞台が北海道ということで、北海道のヒーロー「TEAM NACS」の安田顕、戸次重幸の揃い踏みが見られるほか、BSで同時放送されている「おしん」の小林綾子が戸次重幸の妻役として出演しているのも、このドラマの風景に彩りを添えている。

今から観るには:『なつぞら』

基本情報:NHK連続テレビ小説『なつぞら』第1週「なつよ、ここが十勝だ」