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TBS日曜劇場「下町ロケット」 第9話 〜阿部寛主演

前回の無人トラクター対決で惨敗を喫してしまった帝国重工の、アルファ1。
その無様な転倒の再現シーンでこの第9話は始まった。

今回のMVPは、帝国重工の藤間社長を演じた、杉良太郎だ。

本来なら綿密な原因究明がなされるべきだが、大企業ならではの責任逃れ、責任転嫁が始まる。

アルファ1プロジェクトの責任者、帝国重工の取締役・的場(神田正輝)と、彼の側近である奥沢(福澤朗)は、北海道農業大学の野木教授(森崎博之)に、転倒の責任をなすりつけようとする。
野木のミスではないことを証明するために実施した検証実験の結果すら認めようとしない。

的場が「私も忙しいんでね」と、その場を立ち去ろうとしたその瞬間、満を持して藤間社長が現れる。
千両役者・杉良太郎でしか成しえない「格上」感がたまらない。
圧倒的な威圧感で、ついに奥沢が不具合を隠していたことを吐かせる。
そして最後に、的場に向かって「見苦しいな」と告げて立ち去る。

カッコいい。

この前半のシーンを観るだけでも価値ある回であった。

それに続き、今回の第9話のひとつのエピソードは、佃航平(阿部寛)と娘の利菜(土屋太鳳)の親子対決。
キーデバイスの内製化を推進する帝国重工と、佃製作所のロケット向けバルブの性能対決をするのだが、くしくも、帝国重工でバルブの担当をしているのが利菜であった。
これも、視聴者のご子息が社会人になったばかりであれば、響くような内容であったかも知れない。

また、それとは別に佃に突きつけられた次なる課題は、帝国重工のアルファ1の巻き返しのために、エンジンとトランスミッションの供給に協力することを打診されたことだ。

そもそも公開デモンストレーションでアルファ1に勝ったのは、佃の「下町ロケット」のお株を奪う、下町トラクター「ダーウィン」だった。
下請けイジメのレッテルを貼られ、なおかつ農業機械の展示会「アグリジャパン」で大失態を見せてしまった大企業・帝国重工への風当たりは強い。
しかも、佃製作所は、エンジンはともかく、トランスミッション技術には、まだ確固たる自信がない。
それに、プロジェクトに失敗すれば、自分たちをサポートしてくれた藤間社長のクビまで危なくなる。

佃は悩む。

いっぽう、大企業に圧倒的勝利をしたダーウィンのチームには奢りが見え始める。

おそらく、ダーウィンにも実は不具合がある。それをダーウィンのトランスミッションを開発したギアゴースト社を追い出された島津(イモトアヤコ)が見抜いているふしがある。

佃製作所の欠点であるトランスミッションの課題を解決するために、その島津(イモトアヤコ)が協力し、最終的にはドラマチックな逆転劇を見せてくれるのだろうが、まだ彼女は彷徨っている。

次回あたり、ついに満を持して合流か?

P.S.
いつもネガティブな発言ばかりの技術開発部リーダーの軽部(徳重聡)。たまに笑顔がチラッと映ると、実はちょっとうれしい。

今から観るには「下町ロケット」

基本情報:TBS日曜劇場「下町ロケット」 第9話・阿部寛主演